最新記事
投資

日本株の6割以上を売買する「外国人投資家」の動きを見極める

2019年2月18日(月)17時05分
山下耕太郎 ※株の窓口より転載

外国人投資家の売買手法とは?

外国人投資家のうち長期保有の大手運用会社は、1回あたりの注文金額が多いので、売買金額が大きくなる傾向があります。また、数週間以上にわたって売買の持続性があるため、相場動向を見通す手がかりになります。

日本は製造業が多いので、景気循環の観点から世界景気が良くなると、業績拡大期待から外国人投資家が日本株を買う傾向があります。その中でも、外国人投資家は「TOPIXコア30」など時価総額の大きな企業を好みます。

TOPIXコア30は、東証1部全銘柄のうち時価総額や流動性の上位30銘柄で構成される株価指数で、主力大型株の動向を判断するのに使われます。各業種の日本を代表する主力銘柄が揃っていることから、外国人投資家の有力な投資対象になっています。

アメリカ市場が及ぼす影響を知る

アメリカの株式市場も大きな影響を与えます。

例えば、ヘッジファンド運用残高の投資地域別構成比を見ると、北米が66.7%。したがってヘッジファンドの運用成績は、多くの資金を投入しているアメリカ市場の動向に一番影響を受けることになるのです。

ヘッジファンドとは、市場が上がっても下がっても利益を追求することを目的としたファンドで、2018年11月末の運用残高は2兆3647憶ドル。日本の株式市場にも大きな影響を与えています。

日興リサーチセンターの調べによると、ヘッジファンド運用残高の投資地域別構成比は以下のようになっています(2018年11月時点)。

kabumado190207-chart2b.png

アメリカの株式市場が上昇すれば、ヘッジファンドは含み益を得ることができるので、リスクオン(積極的に投資を行うこと)になり、アメリカ市場から世界中の市場に資金を分散させた投資を行います。その中には日本株も含まれるため、それによって日本株が上昇するのです。

ただ、日本株を専門とする外国人投資家というのは減っていて、日本株を含むアジア株全体、またはグローバル運用の担当者が増えています。そのため、下げ基調が続く中国市場の売りヘッジを、流動性の高い東京市場の先物で行うこともあります。

中国株安の影響が日本の株式市場にも大きな影響を与えるのは、こうした外国人投資家の売りが出ているからだといわれています。

ドル建てで海外勢の心理を探る

外国人投資家、なかでも中長期の投資を行う機関投資家は、日本株投資を行う場合、為替ヘッジをかけないことが多く、投資成果はドルベースで評価されます。

したがって、ドル建ての日経平均株価が海外での日本株に対するセンチメント(市場心理)を表していることになります。

計算方法はシンプルで、日経平均株価をドル円レートで割ります。例えば、日経平均株価が20,000円で1ドル=100円の時は、ドル建ての日経平均株価は20,000円÷100円=200ドルになります。

日経平均株価が変わらないと仮定すると、円安ドル高になればドル建て日経平均は下落し、円高ドル安になればドル建て日経平均は上昇します。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、インディアナ州にデータセンター建設 11

ビジネス

マイクロソフト出資の米ルーブリック、初値は公開価格

ビジネス

東京都区部CPI4月は1.6%上昇、高校授業料無償

ワールド

北朝鮮の金総書記、25日に多連装ロケット砲の試射視
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中