最新記事

キャリア

リーダー層も苦手......日本の英語力不足はもはや「国難」だ

2018年3月21日(水)11時41分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Rawpixel-iStock.

<元外交官のコンサルタントが明かす、英語力が低い日本人の悲惨な実態>

「世界では英語ができないと相手にされない」「英語力不足は国難」と、元外交官で、グローバルリーダー開発を本業とするトレーナーの山中俊之氏は言う。グローバル化とAI(人工知能)化という時代の流れの中で、日本人は、日本は、どう生き残っていくのか。

山中氏は新刊『世界で通用する「地頭力」のつくり方――自分をグローバル化する5+1の習慣』(CCCメディアハウス)の中で、現役世代のビジネスパーソンに向けて、世界に通用する人材になるために必要な6つの習慣を体系立てて説明している。6つの習慣とはすなわち、「情報」「知識」「ワークスタイル」「コミュニティ」「オフ」「英語」を"変える"ことだ。

これらを"変える"とは、どういうことか。ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第3回は「第6の習慣 『英語』を変える」より。

※第1回:社会に出たら学ばない──日本人の能力開発は世界最低レベル
※第2回:オフはとにかく休みたい、会話は仕事の話ばかり、という日本人

◇ ◇ ◇

「英語は通じればよい」と言っている人に問いたい。「情熱が感じられず、失礼な表現の日本語を話す外国人を信頼できますか?」


英語は通じればよいという人もいます。もちろん、熱意や誠意、細かいニュアンスも含めて通じれば問題ありません。それが英語の到達点です。しかし、この「通じればよい」という意味が、「若干間違った表現であっても一応伝わればよい」という意味であれば問題です。

そもそもコミュニケーションはニュアンスや情熱、そして誠意を含めた総合的なものです。仮に内容が伝わっても、熱意や誠意が感じられないのであれば、相手を動かすことはできません。契約上、最低限のことを形にできても、それがビジネス上の成果になるとはとても思えません。

通訳がいればいい、これからはAIが訳してくれるという意見もありますが、私は一部の場合を除いては反対です。というのも、通訳者やAI通訳機を使った場合、情熱や誠意が伝わりにくいからです。形式的・儀礼的な場合は通訳で支障がない一方、真の関係構築に際して通訳を介すると、情熱や熱意が伝わりません。これは私自身、アラビア語と英語の通訳経験があるので常に感じてきたことです。

また、時間が倍以上かかることも、スピードが求められる現状には合いません。AIが情熱やニュアンスも含めて瞬時に訳してくれるようになれば別ですが、そのような時代はいつ来るのでしょうか。少なくとも現時点では、AIはニュアンスや空気を読むことは苦手です。

スピーキング(話す)では、ライティング(書く)と違い、文法や語彙に若干の間違いがあるのはやむを得ないことです。「三人称単数現在のsを忘れた」「現在進行形はこの場合使わないのに使ってしまった」「ややニュアンスの違う単語を使ってしまった」といったことは、私も頻繁にあります。

そもそも、文法や語彙の間違いを気にしすぎると話すらできません。また、その都度発言していかなくてはいけないので、スピーキングでの若干のミスは許されます。しかし、ビジネス上の関係構築においては、スピーキングもライティングも、相手に対して失礼な表現になっていないことを十分に確認すべきです。たとえば、Foreigner は自分と違う異国人といった語感があり、場合によっては失礼になります。

中学・高校で学んだ英語をそのまま使うと相手を不愉快にさせる、ということはよくあります。たとえば、教科書に必ず掲載されているWho are you? は、「お前いったい何者?」といったニュアンスになり、ぶっきらぼうな表現というよりも失礼にあたります。日本人の英語がぶっきらぼうという悪評はこの教科書のせいかもしれません。英語ネイティブは丁寧で婉曲的な表現を使いながらも、明確に伝わる表現を好みます。ですから、単にストレートな表現では相手にとても失礼になってしまうということも心に留めておくべきです。

私自身が、帰国子女や同時通訳者のような英語力がないことは、まずもって告白・懺悔しておきます。TOEICも満点ではありませんし、英字新聞や英字雑誌を読んでも知らない単語に出合います(ちなみに、TOEICはスピーキングとライティングがないので最近は受けていませんが、語彙力や文法力、リスニングなどの強化の面からは重要性を認識しています)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ispace、開発遅れでエンジン変更 日米の月着陸

ビジネス

中国の銀行株が上昇、銀行株保有規制の緩和検討と報道

ビジネス

三菱電、ローム・東芝の半導体事業の統合に向け協議開

ワールド

UAE、ホルムズ海峡防衛へ多国籍部隊の創設働きかけ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 4
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 5
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 6
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 7
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 8
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    実は「ミュージカルはポリティカル」?...社会の闇を…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中