FSB議長の英中銀総裁、各国に市場混乱リスクへの警戒呼びかけ

イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は14日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁への書簡で、不確実性が引き続き成長期待を圧迫しているとし、市場の混乱を招くリスクへの警戒を怠らないようにする必要があるとの考えを示した。9日撮影(2025年 ロイター/Alastair Grant/Pool via REUTERS)
[ロンドン 14日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)の金融監督当局でつくる金融安定理事会(FSB)の議長を務めるイングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は14日、G20政策当局者に宛てた書簡で、不確実性が引き続き成長期待を圧迫しているとし、市場の混乱を招くリスクへの警戒を怠らないようにする必要があるとの考えを示した。
ベイリー氏は、経済・地政学的リスクが一段と顕在化しており、世界的な債務の脆弱性は依然として高い水準にあると指摘した。
金融の安定を確保するために国際的な協力と関与が必要だと強調した。
世界の国内総生産(GDP)の約85%、世界人口の3分の2を占めるG20は、2008年の金融危機後、金融システムを守るためにFSBを設立した。
ベイリー氏は「FSBは幅広く多様なメンバーから構成されているため、その任務を遂行する上で他に類を見ない存在となっている。これは好況時も不況時も重要だ」と指摘。
「政策当局者が世界的なショックに対して協調して行動できることは極めて重要となる。特に地政学的な緊張と分断リスクの高まっている状況では、この能力を当然のものと考えるべきではない」と述べた。
ベイリー氏は、トランプ米大統領が「解放の日」と呼んで発表した関税措置が金融市場を動揺させた4月以降、不確実性が高まったにもかかわらず、状況は改善し、資産価格は回復しているとした上で、「しかし、市場の混乱につながるリスクには引き続き警戒する必要があり、4月の市場イベントから学ぶべき教訓を検討していく」と語った。
FSBは市場の動向を注意深く監視しており、「必要に応じて行動する用意がある」と述べた。