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「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート代表が語る、持続可能な観光のカギとは?

YOSHIHARU HOSHINO

2025年7月14日(月)16時22分
レジス・アルノー(フランス・ジャポン・エコー編集長、フィガロ東京特派員)

星野リゾートが最近力を入れているのが自然観光、なかでも山にフォーカスした「LUCY(ルーシー)」というブランドだ。とりわけ星野が注目するのが、全国にある35の国立公園だ。

「国立公園の魅力をアピールし、そこにインバウンドを呼び込めば、東京、京都、大阪への集中は解消される。そして国立公園へ足を運ぶ拠点となる地方都市の活性化にもつながる」と、ウェブマガジンのプレミアムジャパンに語っている。


その読みは正しい。外国人観光客にとって、日本の自然と言えば富士山、沖縄、北海道がメジャーなところだが、群馬の山々や千葉の海岸、あるいは福井の日本海沿岸まで足を延ばした外国人は、その美しさだけでなく、日本人が身近な自然の素晴らしさに気付いていないことに驚く。

オーストラリア人によって、ニセコが(議論を呼びつつも)世界的なスキーリゾートとして知られるようになったように、日本の地方には観光地として未活用のポテンシャルがたっぷりあるのだ。

ヨーロッパのスキーリゾートは、スキーをするだけでなく、長い夜の楽しみ方や地元の食などスキーを中心とするライフスタイルを提供している。「日本のスキー場もこれをやるべきだ」と星野は力説する。

実際、福島にある星野リゾートの「ネコママウンテン」では、客はスキーを楽しむと同時に、有名な喜多方ラーメンも楽しむ。もし日本政府が「スキー戦略」を立案するとしたら、リードを取るのは星野に違いない。

「これから滑りに行きたい場所はいろいろある。ノルウェーとかフィンランドとかね」と、彼は語る。多様なリゾートを仕掛ける星野だが、スキーリゾートに傾ける思いは熱量はちょっと違うようだ。

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