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「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート代表が語る、持続可能な観光のカギとは?

YOSHIHARU HOSHINO

2025年7月14日(月)16時22分
レジス・アルノー(フランス・ジャポン・エコー編集長、フィガロ東京特派員)

ところが星野自身は、「日本にオーバーツーリズムなんて存在しない」と言う。「あるのは需要の極端な集中だ。日本の観光需要は、1年のうち100日程度の休日に集中しており、残りの265日の観光地は閑散としている。この需要を平たく、年間を通じて分散しなくてはいけない。フランスはそれをやっていて、例えば学校の冬休みと春休みは国内を3つの地域に分けて、時期をずらしている」

新幹線も、需給に応じて運賃を変動させる柔軟な料金システムを導入するべきだと、星野は言う。航空業界では既に導入されているシステムで、旅行時期の多様化を促すことができる。


日本人が気付かない魅力

日本の観光業は2012年以降、劇的な成長を遂げてきた。この年に840万人だった訪日観光客は、24年には3700万人と4倍以上に膨れ上がった。だが、それまで日本人ばかり相手にしてきた多くの観光施設は、旅の期間も好みも異なる外国人客に戸惑った。

だが、星野リゾートは外国人にも日本人観光客にも愛されているようだ。その秘訣は、「フラットな組織文化づくり」にあると、星野は言う。「各施設のスタッフは、日々顧客を見て、独自に考え、サービスを微調整したり提案する権限を与えられている」

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