なぜ中国人は「ファストリ柳井正」が大好きなのか?...不買運動中も中国メディアが味方に付いた理由
TADASHI YANAI
現在、中国では高額のテナント料やEコマースとの過当競争などの影響で、実店舗を持つ小売業が全般的に低迷している。そんな中、ユニクロは900店舗以上を展開。今も大型モールへの出店を続け、実店舗経営でも成功を収めている。
またEコマースでも、中国大手プラットフォームの淘宝網(タオパオワン)や天猫(Tモール)で高い売り上げを誇る。実店舗とEコマースを両立している点も尊敬につながっているのだ。
中国と対等な関係構築
2021年、新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に西側の大手アパレルメーカーが一斉に「新疆綿の不使用」を宣言すると、中国全土で大規模な海外アパレル製品のボイコットが起こった。ユニクロも当然影響を受けたが、それでもH&MやZARAと比べると、影響は限定的だった。
また、24年11月末には柳井氏が英BBCのインタビューに対し「新疆綿は使っていない」と発言したことが中国でも取り上げられ、再度ボイコットに火が付く懸念が生じたが、中国メディアが柳井氏を擁護する記事を発表。「西側メディアが悪意で(発言を)曲解した」という流れになって収まった。
なぜこうした流れになったのか。ユニクロは海外展開を始めた当初から上海や北京など中国を重視し、継続的に店舗を拡大。それが中国社会に活気をもたらしている。
中国には269社のサプライヤーがあり、「中国の繊維産業と共に発展してきた」といった柳井氏の発言も中国メディアで報じられ、ユニクロは中国の雇用にも貢献していると認識されている。