最新記事
日本企業

なぜ中国人は「ファストリ柳井正」が大好きなのか?...不買運動中も中国メディアが味方に付いた理由

TADASHI YANAI

2025年6月26日(木)17時36分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)

現在、中国では高額のテナント料やEコマースとの過当競争などの影響で、実店舗を持つ小売業が全般的に低迷している。そんな中、ユニクロは900店舗以上を展開。今も大型モールへの出店を続け、実店舗経営でも成功を収めている。

またEコマースでも、中国大手プラットフォームの淘宝網(タオパオワン)や天猫(Tモール)で高い売り上げを誇る。実店舗とEコマースを両立している点も尊敬につながっているのだ。


中国と対等な関係構築

2021年、新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に西側の大手アパレルメーカーが一斉に「新疆綿の不使用」を宣言すると、中国全土で大規模な海外アパレル製品のボイコットが起こった。ユニクロも当然影響を受けたが、それでもH&MやZARAと比べると、影響は限定的だった。

また、24年11月末には柳井氏が英BBCのインタビューに対し「新疆綿は使っていない」と発言したことが中国でも取り上げられ、再度ボイコットに火が付く懸念が生じたが、中国メディアが柳井氏を擁護する記事を発表。「西側メディアが悪意で(発言を)曲解した」という流れになって収まった。

なぜこうした流れになったのか。ユニクロは海外展開を始めた当初から上海や北京など中国を重視し、継続的に店舗を拡大。それが中国社会に活気をもたらしている。

中国には269社のサプライヤーがあり、「中国の繊維産業と共に発展してきた」といった柳井氏の発言も中国メディアで報じられ、ユニクロは中国の雇用にも貢献していると認識されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米5月耐久財受注16.4%増、航空機受注急増が押し

ビジネス

米新規失業保険申請1万件減、継続受給件数は21年1

ワールド

米国防長官、イランの濃縮ウラン移動情報認識せず ト

ワールド

ロシア軍、ウクライナ東部でリチウム鉱床近くの集落を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」…
  • 10
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中