最新記事
日本企業

なぜ中国人は「ファストリ柳井正」が大好きなのか?...不買運動中も中国メディアが味方に付いた理由

TADASHI YANAI

2025年6月26日(木)17時36分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正の浮世絵風イラスト

ILLUSTRATION BY KYOJI ISHIKAWA FOR NEWSWEEK JAPAN

<「新疆綿」問題の影響もあくまで限定的。外国企業に厳しい中国でユニクロと柳井正がとにかく愛される、その理由とは?──>

中国で有名な日本人企業家といえば、まず名前が挙がるのが「経営の神様」といわれた松下電器産業(現パナソニックHD)創始者、松下幸之助氏と、京セラの創業者、稲盛和夫氏だろう。

そしてこの2人に続く人気と知名度を誇るのが、ソフトバンクグループの孫正義氏とファーストリテイリングの柳井正氏だ。トヨタ、ソニーなども人気があるが、柳井氏は現役の経営者として特に注目度が高い。


一勝九敗』『経営者になるためのノート』など柳井氏の著書は中国語に翻訳されており、中国の経営書でも小売業の成功事例として取り上げられている。

ユニクロの成功の秘訣を「高品質、安価、実店舗とEコマースの両方を備えた商品の手に入れやすさ」とする見方は、日本での認識とほぼ一致している。

柳井氏自身についても、地方の紳士服店の2代目で、革新的な経営手法で会社を世界トップのアパレル企業に成長させた人物だとよく知られている。

それにしても、なぜ中国でそこまで人気が高いのか。理由としてまず考えられるのは、日本の長者番付で堂々の1位、世界的にもトップレベルの富豪であることだ。

世界の富豪ランキングの上位には中国人の経営者も多数入っているが、上位の中国人はテック企業の経営者が多く、ものづくりを中心とした実体経済の企業ではない。柳井氏が尊敬を集めるのは、彼が伝統的な製造業で身を立てたからだろう。

ファーストリテイリングがBtoCの会社であり、一般消費者にとって「見えやすい」存在だということも人気を後押ししている。商品の品質やデザインをはじめ、店舗設計、Eコマースなどビジネスモデルまで消費者の目に触れるので、注目もされやすい。

建築
顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を持つ「異色」の建築設計事務所
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米、中国からのレアアース輸出加速巡り合意=ホワイト

ワールド

メキシコ中銀、4会合連続0.5%利下げ 今後下げ幅

ビジネス

米財務長官、税制・歳出法案から「報復課税」条項削除

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック最高値に迫る、利下
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中