備蓄米放出は「米価高騰」の根本的解決にならない...政府と国民に求められる「解決策」とは?

RICE CRISIS OF 2025

2025年6月21日(土)11時15分
加谷珪一(経済評論家)

黒船をきっかけに政治的近代化を達成した明治維新は、経済的な側面から考えれば、コメ経済が成り立たなくなったことで体制の維持が不可能になったと解釈することもできる。もっとも明治維新をきっかけに制度としてのコメ本位制は消滅したものの、精神的なコメ依存は続き、これが戦後の農政につながっていく。

戦後日本における農政は「食糧管理制度(以下、食管制度)」が中核となっていた。この仕組みは、生産にかかったコストよりも高い価格で政府がコメを買い取り、消費者に対しては安く安定的に提供するというものである。昭和の時代には、1兆円規模の予算を投じて食管制度を運用していたが、その結果、農家は安定的にコメを生産でき、国民は安価なコメを買うことができた。国民も当初はこの制度を支持していたといってよい。


ところが日本人の食生活が変化し、コメの消費量が減り始めた1980年代頃から「食管制度は農家を儲けさせているだけ」「予算の無駄遣い」と批判されるようになった。消費量が減ったことから、生産量も減らさなければ値崩れする可能性が高まり、政府は強制的に生産量を減らす減反政策を本格化させた。

「もっと食べること」が解決策

自由市場であれば競争が起こり、零細で体力のない事業者は淘汰される。市場が小さくなれば、収益を上げられない事象者はやはり市場からの退出を余儀なくされる。だが、食管制度が存在する限り、政府がコメを高く買ってくれるので、一部の零細農家は企業努力を怠り、市場の合理化が進まなかった面があることは否定できない。

農家あるいは農協にとってみれば、食管制度を維持してもらうことが利益になるため、同制度を推進する自民党を支持してきた。一連の仕組みが手厳しく批判されたことで、政府は95年に食管制度の廃止を決定。コメは自由市場に移行した。

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