JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
WHY THAT PRICE
さらに小泉大臣は6月10日、備蓄米20万トンの追加放出を決定した。実はこの20万トン、これまで放出された60万トンとは意味合いが決定的に異なる。
最初の60万トンで需給ギャップが埋まったのに対し、今回の20万トンはそのまま供給過剰になるため、単純に考えれば価格を低下させる効果はそれなりに大きいはずだ。
事業者がこの20万トンにどれぐらい手を挙げるか。この20万トンが市場に出れば、今年の秋までは価格が低下する可能性が非常に高くなったと言える。
一方で、事業者の反応が鈍く、全てが放出されない場合、それは需給のタイト感がなくなったことの証左であり、ある程度の水準で価格が安定していくことになると考えられる。
米価下落と増産のジレンマ
しかし、備蓄米放出による価格の安定はあくまでも緊急的な対応でしかない。中期的な価格の安定には、生産量の回復が不可欠だ。
農水省から発表された25年産の主食用米作付け見通しは「対前年比40万トン増の719万トン」だった。これだけの量のコメが市場に出てくれば、価格低下の期待も高まるところだ。
ただし、実際にそれだけのコメが出てくるかどうかは今夏の天候次第であり、既に高騰している概算金がさらに高い価格で取引が始まる可能性も否定できない。