大手企業を辞め自身のワインブランドを立ち上げた黒人女性...人種と性別の壁を越え「常識」を壊せ
Art of the Pour
人種と性別の壁を越える
今年4月からは、アメリカン航空の国際線ファーストクラスでアイベスト・ワインの白が提供されることになった。地上で飲んでも上空3万フィートで飲んでもおいしいと評価されたのだ。「私たちがワイン業界において革新と成長を担っていると認められたということだ」とベストは胸を張る。
これはアイベスト・ワインの知名度アップに向けた大きな一歩にもなった。世界のワイン通の富裕層に飲んでもらえるからだ。
一方で、ベスト本人のワインに対する姿勢も変わった。「ワインが文化や物語や経験とどう組み合わさるのかを考えるようになった」と言う。
「ワインには原産地や造った人々、それを取り巻く文化についての物語がある」
ベストによると、美術コレクターが、長い目で見て価値が出るであろう若いアーティストの作品を求めるように、ワイン好きは味という意味でも金銭的価値という意味でも、時とともに評価が上がっていくワインに金を出す。
「アイベスト・ワインはそこを大事にしている。ブランドを文化的な作品として、つまりコレクションしたり、意思を持って味わう価値のあるものとして位置付けている」