ヨーロッパ企業「対米投資に疑念」...政策二転三転で計画保留も
マルコ・アルドゥイーニ最高経営責任者(CEO)は、仮に米国に生産拠点を移さざるを得なくなった場合、自動車部品向け特殊鋼に課せられている関税の影響を受けると話した。米国では人件費がメキシコの最大6倍に跳ね上がるのも問題という。
「米景気後退が起これば需要も従来と異なる様相になりかねない」―。こう話したのはドイツのファン・モーターメーカーebm―papstのクラウス・ガイスドエルファーCEOだ。トランプ政権の高関税政策の景気後退リスクなどを踏まえ、米国に3番目の工場を建設する計画や既存の米国拠点を拡張する計画を保留している。
中小企業は大手企業に比べ、財務余力が乏しいため新たな貿易リスクには大手よりも迅速に対応する可能性がある。
ドイツ中小企業協会(DMB)のマルク・テンビーグ会長は「トランプ大統領の期待に反して、自身の保護主義は、より多くのドイツ企業が米国に生産拠点を移して雇用を創出することにつながらないだろう」との見解を表明した。DMBによると、中小企業数社がトランプ大統領の政策を受けて米国事業の見直しを進めている。
ドイツ機械装置産業連盟(VDMA)の北米貿易政策アドバイザーのアンドリュー・アデア氏は、会員企業の一部は資材などの購買を先送りしていると明らかにした上で、「産業界は現在、一時停止ボタンを押しているように見える」と述べた。