最新記事
中国

「中国の接触、米国の標的を避けたい」海運業界で「香港離れ」が静かに進んでいる理由

2025年3月9日(日)18時37分
香港の港

3月6日、海運業界では国際的な海上輸送のハブである香港から業務を移し、船籍登録を他の地域に変更する動きが静かに進んでいる。香港の港で撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)

海運業界では国際的な海上輸送のハブである香港から業務を移し、船籍登録を他の地域に変更する動きが静かに進んでいる。香港船籍の船舶を巡り、非常時に中国当局に徴用されたり、米中関係の緊迫に伴い米国の制裁対象になったりするのではないかといった懸念が高まっているためだ。

中国が自国の安全保障における香港の役割を強調している一方、米国は、台湾などを巡る軍事衝突の発生時における中国商船の重要性の分析に力を入れている。海運業界の幹部らは、こうしたことが業界全体に不安を広げていると話した。

香港は100年以上にわたり船主やブローカー、金融業者、保険業者、弁護士といった海運関連業者が集中する拠点となってきた。公式統計によると2022年に海運・港湾業が域内総生産(GDP)に占める比率は4.2%。英情報会社ベッセルズバリューによると船籍登録数は世界で8番目に多い。

しかしロイターが香港の事情に詳しい24人に取材したところ多くの関係者は、安全保障目標を重視する中国の姿勢や貿易摩擦の激化、さらに中国に忠実な香港行政長官が緊急時に海運業務を掌握できる広範な権限を持つといった要因を挙げて、商業海運業界が米中間の軍事衝突に巻き込まれるリスクを懸念する声が高まっていると証言した。

ある業界幹部は「中国がわれわれの船を求めて接触してくる一方で米国がわれわれを標的にするような事態は避けたい」と述べた。

自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国新築住宅価格、2月は前月比0.1%下落 需要低

ビジネス

中国1─2月主要指標、小売売上高は伸び加速 鉱工業

ビジネス

米鉄鋼関税「例外設けず」とトランプ氏、4月2日に相

ワールド

トランプ氏、ロシア大統領と18日協議へ ウクライナ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメは朝、五感を刺激する「ウォーキング・セラピー」とは?
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴された陸上選手「私の苦痛にも配慮すべき」
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 7
    『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占…
  • 8
    奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」…
  • 9
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 10
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 10
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中