最新記事
スポーツ

健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは

2024年12月2日(月)20時42分
満尾 正 (米国先端医療学会理事、医学博士) *PRESIDENT Onlineからの転載

栄養不足が「パフォーマンス低下」を引き起こす

ビタミンD

日本ではあまり注目されていませんが、欧米では、積極的な摂取が呼びかけられています。

その働きは骨の健康をはじめ、免疫力の増強、脳や神経機能の維持、心臓血管疾患予防、糖尿病予防など、ほぼすべての生理学的な機能に影響を与えています。つまり、ビタミンDの不足があると、あらゆる体調不良、パフォーマンス低下を引き起こします。


ビタミンDの補充をするには、次の3つの方法しかありません。

①日に当たる
②鮭や青魚を食べる
③サプリメントでとる

日本人の平均値は、25(OH)D3濃度で20~25ng/mlですが、至適濃度は40ng/ml以上と考えられています。

GPT(ALT)

GPT(グルタミン酸ピルビン酸転移酵素)は、肝機能を確認するための項目です。GPTは体のあらゆる組織に含まれていますが、肝細胞への分布が圧倒的に多い酵素です。

GPTの血中濃度が高くなるということは、肝細胞が壊れ、血液中に流れ出たことを意味します。逆にGPT値が低い場合は、肝細胞の代謝スピードが落ちているということになります。GPT値は最低でも18U/l、できれば20~25U/lが望ましい数値です。

18U/lを下回る場合、糖質からアミノ酸を作るためのビタミンB6が不足して、肝機能が低下していると考えられます。肝機能が低下すると代謝がダウンするために体が冷え、疲れやすくなるためパフォーマンスの低下を引き起こします。

GPTが18以下の場合には、ビタミンB6を含む食品を積極的にとるようにしましょう。前項でも触れた通り、B6はにんにく、アボカド、鮭、いわし、鶏レバーに豊富に含まれます。

「男性ホルモン」は女性にとっても大切

亜鉛

亜鉛が関与している代謝酵素は、200種を超えるといわれています。DNAやタンパク質の合成、視力、聴力、性ホルモンの分泌、免疫力のコントロールなど、体の重要な機能に関与しています。

亜鉛が不足すると、貧血や皮膚炎、免疫機能障害を引き起こすほか、重金属汚染の影響を受けやすくなります。

亜鉛、カドミウム、水銀は元素周期表からすると同じ12族です。つまり、元素の性質が極めて似ているということ。食品中の亜鉛が少なくカドミウムや水銀が多くなってしまうと、必須ミネラルの亜鉛ではなく、有害金属のほうが体内へ蓄積されやすくなってしまいます。

また、パフォーマンスを上げたいと望むビジネスパーソンにとっては、男性ホルモン(テストステロン)の維持にも亜鉛が有効だということは、有益な情報かもしれません。

男性ホルモンは男性らしい肉体を作るだけでなく、やる気や競争心、社会性といったメンタル面にも大きく関与しています。男性ホルモンの低下によって、やる気を失うといった弊害も起こります。

男性に限らず、女性の体内でも男性ホルモンは一定量分泌されているため、低下することで同様の弊害は起こります。うつ病かなと思ったら、男性ホルモンの分泌が低下していたことが原因だった、ということもあります。

亜鉛が豊富な食材の代表は、牡蠣です。その他にも、たたみいわしや煮干し、チーズ、ココアなどに多く含まれています。

体内の亜鉛を測るときは、肝機能検査項目に含まれている「ALP(アルカリフォスファターゼ)」という酵素の濃度が目安になります。最適値は200IU/lで、150以下になると不足と診断します。

newsweekjp20241126090739-5d0f409a7a4631ec45f1e178958f00cb0c63eeb2.jpg満尾正『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術[文庫版]』(アチーブメント出版)(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米12月失業率4.6%、11月公式データから横ばい

ビジネス

米10月住宅価格指数、前年比1.7%上昇 伸び13

ワールド

プーチン氏、イラン大統領と電話会談 核計画巡り協議

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中