最新記事
SDGs

SDGs取り組み企業が54.5%で最高記録、中小企業は対応に苦戦 帝国データバンク調査

2024年7月30日(火)11時10分
冨田龍一
大企業の71.8%がSDGsに積極的、中小企業との差が明確に Jaison Lin-Unsplash

大企業の71.8%がSDGsに積極的、中小企業との差が明確に Jaison Lin-Unsplash

<帝国データバンクの調査で、企業のSDGs取り組み率が54.5%に達し過去最高を記録する一方、中小企業は対応に苦戦していることが明らかになった>

帝国データバンクが2024年6月に実施した企業のSDGsに対する見解調査によると、「SDGsに積極的」である企業は54.5%に達し、過去最高を記録した。しかし、その上昇幅は前年と同様に鈍化している。

加えて、多くの企業が人材確保や取引先との関係強化を目的にSDGsに取り組んでいる一方で、33.5%の企業はSDGsの重要性を理解しながらも実際の取り組みに至っておらず、7.4%の企業は「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」と回答している。

newsweekjp_20240730024205.png

大企業と中小企業のSDGs差明確

企業規模別のデータでは、大企業の71.8%がSDGsに積極的であるのに対し、中小企業は51.2%、小規模企業は42.9%と、規模が小さくなるほどSDGsへの積極的な取り組みが低くなる傾向が見られる。現在力を入れている項目としては「働きがいも経済成長も」が34.0%でトップとなっており、今後最も力を入れたい項目も同様に「働きがいも経済成長も」が11.8%でトップである。

newsweekjp_20240730024355.png

newsweekjp_20240730024437.png

newsweekjp_20240730024453.png

最大効果は企業イメージ向上

SDGsへの取り組みの効果としては、企業イメージの向上が39.8%でトップ、従業員のモチベーション向上が32.9%と続いている。また、4社に1社がDEI(多様性、公平性、包摂性)への取り組みに積極的であることも明らかになった。

newsweekjp_20240730024528.png

調査に協力した中小企業からは「重要性は理解しているが、今の経済環境において中小企業には荷が重すぎる」「考え方について共感できるが、人手や資金などの観点から取り組むことが難しい」「中小零細企業がいかに取り組めばよいのかが分からない」「中小零細企業では具体的な取り組み方を策定するのが難しい。また、それほどの効果は得られないと考える」などの声も挙がっている。

今後、SDGsに取り組むことが企業間の取引条件や商品の購入、入社動機にも影響を与える可能性が高まるため、対応が難しい企業への支援強化が求められる。

この調査は2024年6月17日から30日にかけて実施され、全国の2万7159社を対象とした。有効回答企業数は1万1068社で、回答率は40.8%だった。なお、SDGsに関する調査は2020年から毎年実施されており、今回で5回目となる。

ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中