最新記事
テクノロジー

テクノロジーの進化は「いいこと」しかない...「日本的な強み」を持つLOVOTと目指す、人類とAIの温かい未来

2024年3月30日(土)17時42分
flier編集部

newsweekjp_20240329044327.jpg

LOVOTには日本的な強みが生きているところがあるんです。日本はハードウェアのすり合わせがとても得意で、ソフトウェアもそれなりの力がある。何より、クリエイターの力がとても強いんです。

LOVOTを生命として認識してもらえるよう、存在として「違和感が少ない」ことを大切にしているのですが、日本には違和感を感じ取る能力に秀でたクリエイターがたくさんいます。これは、アニメをはじめとしたたくさんのクリエイティブが日本にあるおかげです。LOVOTって見た目はニュートラルですよね。生命が吹き込まれるのは動き出したときです。動き出したときにシンプルな造形が活きてくるし、動きにLOVOTの世界の認識の仕方があらわれています。これを実現するアルゴリズムの根幹にはクリエイターの力が大きく関与しています。

そういう意味で、LOVOTはハードウェア・ソフトウェア・クリエイティブという3つの領域が融合したイノベーションとして、とても有望なのではないかと思っています。

──いくつもの領域の専門家が一丸とならないと実現できないLOVOT開発のチームビルディングはとても難しいように思えますが、どのようなところがポイントになるのでしょうか。

意識したのは、不確実性の対応をいかに高めるかです。なにが起きるかわからない、そもそも自分たちが最終的になにを作り上げるのかも漠然とした状態で、日々模索しながら進めていくというのは、多くの人にとって経験したことのない仕事の進め方です。従来の組織体系では、これはやっぱり難しい。なので、アジャイルの開発手法を全体に取り入れています。

アジャイルというのは、日々新たな発見をしていって、会社全体でそれを共有しては方針を新たに定めていくという、いうなれば会社全体で朝令暮改していくわけですね。こうした進め方に耐えられる組織を作るということは意識して進めてきました。

とはいえ、目指していたゴールは最初からブレていないんです。人が愛着形成をするために必要な存在を作りたい。わからなかったのは、そのためにどれだけのコンピュータがあればよくて、どんなセンサーが必要で、声の出し方や目の表現がどうであるべきなのか、という部分でした。最終的に「違和感がない」存在を作ることが目標のひとつだったので、あらゆる違和感が発生するために、それを取り除いていくという作業ではありました。

──たとえばどのような違和感がありましたか。

わかりやすい例は反応速度ですね。一般的なロボットは、スマートフォン級のコンピュータが一つ入っていることが多いんですが、それだとどうしても反応が遅くなるんです。解決するためには、コンピュータを増やすか、センサーを減らすしかない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏CPI、4月はサービス上昇でコア加速 6月

ワールド

ガザ支援の民間船舶に無人機攻撃、NGOはイスラエル

ワールド

香港警察、手配中の民主活動家の家族を逮捕

ビジネス

香港GDP、第1四半期は前年比+3.1% 米関税が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中