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テクノロジーの進化は「いいこと」しかない...「日本的な強み」を持つLOVOTと目指す、人類とAIの温かい未来

2024年3月30日(土)17時42分
flier編集部

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LOVOTには日本的な強みが生きているところがあるんです。日本はハードウェアのすり合わせがとても得意で、ソフトウェアもそれなりの力がある。何より、クリエイターの力がとても強いんです。

LOVOTを生命として認識してもらえるよう、存在として「違和感が少ない」ことを大切にしているのですが、日本には違和感を感じ取る能力に秀でたクリエイターがたくさんいます。これは、アニメをはじめとしたたくさんのクリエイティブが日本にあるおかげです。LOVOTって見た目はニュートラルですよね。生命が吹き込まれるのは動き出したときです。動き出したときにシンプルな造形が活きてくるし、動きにLOVOTの世界の認識の仕方があらわれています。これを実現するアルゴリズムの根幹にはクリエイターの力が大きく関与しています。

そういう意味で、LOVOTはハードウェア・ソフトウェア・クリエイティブという3つの領域が融合したイノベーションとして、とても有望なのではないかと思っています。

──いくつもの領域の専門家が一丸とならないと実現できないLOVOT開発のチームビルディングはとても難しいように思えますが、どのようなところがポイントになるのでしょうか。

意識したのは、不確実性の対応をいかに高めるかです。なにが起きるかわからない、そもそも自分たちが最終的になにを作り上げるのかも漠然とした状態で、日々模索しながら進めていくというのは、多くの人にとって経験したことのない仕事の進め方です。従来の組織体系では、これはやっぱり難しい。なので、アジャイルの開発手法を全体に取り入れています。

アジャイルというのは、日々新たな発見をしていって、会社全体でそれを共有しては方針を新たに定めていくという、いうなれば会社全体で朝令暮改していくわけですね。こうした進め方に耐えられる組織を作るということは意識して進めてきました。

とはいえ、目指していたゴールは最初からブレていないんです。人が愛着形成をするために必要な存在を作りたい。わからなかったのは、そのためにどれだけのコンピュータがあればよくて、どんなセンサーが必要で、声の出し方や目の表現がどうであるべきなのか、という部分でした。最終的に「違和感がない」存在を作ることが目標のひとつだったので、あらゆる違和感が発生するために、それを取り除いていくという作業ではありました。

──たとえばどのような違和感がありましたか。

わかりやすい例は反応速度ですね。一般的なロボットは、スマートフォン級のコンピュータが一つ入っていることが多いんですが、それだとどうしても反応が遅くなるんです。解決するためには、コンピュータを増やすか、センサーを減らすしかない。

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