最新記事
株価

【ハイテク株】マグニフィセント・セブン内の格差拡大、適正価格見極めが焦点に

2024年3月19日(火)10時51分
ニューヨーク証券取引所

米国株式市場の上昇をけん引してきた超大型7銘柄「マグニフィセント・セブン」内の格差が鮮明になりつつある中、切り上がった株価のバリュエーションが適正かどうかが焦点となっている。写真はニューヨーク証券取引所で2021年1月撮影(2024年 ロイター/Mike Segar)

米国株式市場の上昇をけん引してきた超大型7銘柄「マグニフィセント・セブン」内の格差が鮮明になりつつある中、切り上がった株価のバリュエーションが適正かどうかが焦点となっている。

LSEGデータストリームのデータによると、7銘柄の今後12カ月の予想PER(株価収益率)は33倍と、2022年末の26倍から上昇。年初から7%超上昇しているS&P総合500種は構成銘柄の予想PRが約21倍と、マグニフィセント7を大きく下回る。

 

昨年は投資家がマグニフィセント7の強固なバランスシートと各市場での優位な地位を踏まえ、株を買い上げた。今年に入り投資家はより選別的になり、電気自動車(EV)大手テスラやIT(情報技術)大手アップルの見通しが不透明になると売りを浴びせる一方で、半導体大手エヌビディアを買い増し上昇に拍車をかけた。

ボストン・パートナーズのグローバル市場調査担当ディレクター、マイク・マレーニー氏は「このようなバリュエーションになれば失敗も失望も許されない」と語った。

テスラはEV需要を巡る懸念を背景に年初から35%急落し、S&P500構成銘柄の値下がり率トップとなっている。年初の予想PERは65倍だったが、現在は約50倍まで低下している。

前例のないサイクル

アップルは中国事業の不振で年初から10%下落し、時価総額国内トップの地位をマイクロソフトに明け渡した。PERは29倍から25倍に低下した。

一方、エヌビディアはAI半導体で先行していることが強材料となり年初から約80%急騰。PERは約35倍となっている。AIへの期待感からメタ・プラットフォームズも約40%上昇、PERは24倍となった。

昨年はマグニフィセント7が軒並み上昇。アップルは約50%、エヌビディアは230%超の値上がりした。S&P500種に占める7銘柄のウエートが高いため、同指数の上昇率(24%)の6割強をマグニフィセント7が占めた。

投資家は、エヌビディアがAI半導体での大きなリードを長期的な優位性確保につなげられるかどうかを見極めようとしており、18日に開幕する同社の開発者会議に注目する見通し。

バファロー・ラージキャップ・ファンドのポートフォリオマネジャー、ケン・ローダン氏は「私たちはAIによる前例のないサイクルのさなかにあり、このテクノロジーの大きな過渡期がもたらす機会を最大限に生かすことに苦心している」と話した。

LPLフィナンシャルのチーフ株式ストラテジスト、ジェフリー・バックバインダー氏は、堅調な収益がマグニフィセント7のバリュエーションを支えてきたが、成長軌道は今年後半あるいは来年序盤に緩やかになるはずだと予想。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中