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サプライチェーン中国の軍事演習で一部貨物船が台湾迂回 有事のサプライチェーン・リスク浮き彫りに

中国が台湾周辺で軍事演習を実施していることを受けて、一部の貨物船や石油タンカーが台湾を迂回して航行している。写真は北京の街中で、モニターに映し出されたニュースの映像。2日撮影(2022年 ロイター/Tingshu Wang)
中国が台湾周辺で軍事演習を実施していることを受けて、一部の貨物船や石油タンカーが台湾を迂回して航行している。
台湾海峡や台湾東部の海域は東アジアから欧米に貨物を輸送する重要な航路。台湾の港は通常通り操業しているが、アナリストや船主によると、台湾の迂回で約半日の遅れが出ており、台湾有事の際に世界の物流が混乱するリスクが浮き彫りになっている。
国際海運団体BIMCOのチーフエコノミスト、ニールズ・ラスムセン氏は「一部の船舶は用心のため、台湾海峡ではなく、台湾東部の海域を航行している」と指摘。
情報会社フレイトスのツビ・シュライバー最高経営責任者(CEO)は「現時点で大きな混乱は見られないが、長期化すれば混乱を招く恐れが確実にある」とし「地域紛争が発生して航路の変更を迫られれば、通過に時間がかかり、日程が狂い、一段の遅延とコストが発生する」と述べた。
海運リスク管理会社ブレーマーのリサーチ責任者アヌープ・シン氏によると、大型石油タンカーの船主は警戒レベルを上げて航路を変更しており、海上保険会社も台湾周辺の航行に注意を呼びかけている。
海運業界は、新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)の影響からまだ完全に回復しておらず、アナリストはわずかな遅れでも懸念されると指摘。
海上運賃情報プラットフォームを運営するゼネタのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は「貿易の促進ではなく、緊張の回避が優先されている。サプライチェーンの問題が悪化することを意味する」と述べた。
