最新記事

コミュニケーション

「話し上手」になるために、まず見直すべきは「相手の話を聞く」姿勢と準備

2022年3月25日(金)11時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「世界を変える時間、十五分」という講演に行ったときのことだ。事前に放送作家と原稿をやりとりし、修正も済んでいた。A4用紙に十ポイントの文字の大きさで三枚分びっしり書けば、十五分程度話す分量になると聞いていた。

私は、原稿をまとめたA4用紙を見ながら内容を覚えた。一枚目の真ん中あたりにこの内容があり、端っこにはこの内容が......二枚目の冒頭にはこの内容があり......というふうに。

私たちはテキストを覚えるときも位置情報というものを使っている。だから、学校で試験を受けるとき、その内容は覚えていなくても、「あ! これは、教科書の右側のページの写真の下にあった内容だ!」ということだけは思い出せることがある。

ところが、講演会場に着くと、原稿をカンペにして渡された。カンペというのは、お笑い番組などで司会が手に持っている、厚紙を横向きにして書いた原稿だ。もらったカンペは三枚以上あり、私は、覚えてあったA4用紙の原稿の位置情報がこんがらがって頭の中が混乱しはじめた。

リハーサルの後、これではダメだと思い、控室でカンペの余白に小さなマインドマップを描いた。それを描いている間に私の頭の中はきれいに整理され、本番ではカンペを一度も見ずに話すことができた。

ポッドキャストの進行をするときは、必ずA4用紙一枚を準備してマインドマップを作成する。真ん中にはゲストの名前を書き、そこから伸びる枝にはその人の著書の中から覚えておかなければと思うことを書いておく。

ゲストの作家たちは、私が適切なタイミングで本人の著書の一部を引用するととても驚くが、それはすべてマインドマップのおかげだ。もし、私が覚えておくべき内容をすべて文字で書いて録音室に持っていったとしたら、会話の中でそれを探すのは難しいだろうし、会話の流れも途切れてしまうだろう。

マインドマップは膨大な内容もA4用紙一枚にさらっと記録することができ、ひと目でぱっと見やすく、ポッドキャストの進行や講演をするときに確実に役に立つ。マインドマップは左脳と右脳を同時に活発に働かせるので、内容を記憶するのにも有効だ。録音前に白紙一枚を取り出して入念にマインドマップを作成する過程で、私の頭の中はすでにすっきり整理されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル中銀が0.5%利上げ、19年ぶり水準の14

ワールド

リビアへの不法移民強制送還、米連邦地裁が認めない判

ビジネス

米政権、適用間近のAI半導体輸出規制強化策を撤廃・

ワールド

メキシコ、インフレが予想通り鈍化なら追加利下げ可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 8
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 9
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 10
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中