最新記事

環境

「対面」復活を急ぐカンファレンス業界 環境負荷対策が課題に

2022年2月7日(月)16時28分
米ラスベガスで開かれたCESの参加者

コロナ禍はオフィスでの仕事風景を一変させたかもしれない。だが「カンファレンス界」には、まだ変化の兆しはない。写真は1月5日、米ラスベガスで開かれたCESの会場で撮影(2022年 ロイター/Steve Marcus)

コロナ禍はオフィスでの仕事風景を一変させたかもしれない。だが「カンファレンス界」には、まだ変化の兆しはない。

オンライン開催を維持することによる環境面でのメリットは大きいが、イベント主催者はパンデミックが落ち着き次第、直接の対面による商談の機会を復活させたいと考えている。

航空機やガソリンを大量に消費するシャトルバスを使った移動から、膨大に消費されるペットボトル入りの水やカタログの山に至るまで、イベント開催による環境への負荷は甚大だ。

コーネル大学及び全米ライフサイクル評価センターの研究者が先月「ネイチャー」誌に発表した研究によれば、コロナ禍以前、国際イベントや会議産業による年間のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)は、米国の温室効果ガスの年間排出量に匹敵する規模だった。

研究者らは、カンファレンスを全面的にオンラインに移行することでカーボンフットプリントを94%減らすことができると試算している。対面とオンライン併用のハイブリッド方式にシフトし、参加者のうち最大で半数までがオンラインに移行するだけでも、3分の2は減らせるという。

だがカンファレンス主催者らは、プロフェッショナルが一堂に会することのメリットを最大限活かすには、皆が実際に顔を合わせる必要があると言う。プレゼンテーションの前後に人脈を築いたり、競合他社や製品との直接の比較をしたり、交渉の帰すうを決める決定打として、対面でのやり取りは欠かせないというわけだ。

「仮想空間で『偶然の出会い』を生み出すことは本当に難しい」と語るのは、イベント代理店アイデンティティでイノベーション担当ディレクターを務めるフィリップ・マッグス氏。同社は、昨年グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催を担当した。

主催者から見れば、対面による会議の方が稼ぎになる。360ライブメディアでイベント戦略・デザイン担当バイスプレジデントを務めるベス・サーモント氏は、一般的に、直接対面によるカンファレンスに比べ、デジタル開催の場合は参加料もスポンサー出資も低くなり、収益は約半分になってしまうと語る。

ラスベガスで開かれるデジタル見本市「CES」や不動産業界のカンファレンスMIPIMなどの主催者を含め、ロイターの取材に応じたカンファレンス主催大手6社は、コロナ禍前と同じ規模の対面イベントを復活させ、その一方で可能な限りカーボンフットプリントを抑制していく予定だとしている。

ロイターニュースでも、「ロイターイベント」と呼ばれるカンファレンス部門を運営している。

COP26もリアル開催で

音楽イベントや展示会、フェスティバル、そして企業カンファレンスなどのイベント産業は、コロナ禍から回復していくものと予想されている。ベリファイドマーケットリサーチでは、2020年には8870億ドル(101兆8500億円)だった市場規模が、28年には2兆2000億ドルに成長すると見込んでいる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送-「安全の保証」巡り首脳レベルの協議望む=ウク

ビジネス

訂正米PCE価格、7月前年比+2.6% コアは5カ

ワールド

トランプ氏のFRB理事解任巡る審理開始、裁判所判断

ワールド

プーチン氏、トランプ氏欺くことに 露ウ会談約束しな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中