最新記事

金融

オミクロン株の出現、主要国の金利政策にも「激震」

2021年11月29日(月)14時19分

UBSインベストメント・バンクの首席エコノミスト、アレンド・カプテイン氏は、新変異株が広がれば米労働市場改善への信頼は消える恐れがあるが、影響を判断するのは時期尚早だと言う。ただ「市場はテーパリング加速と来年の複数回の利上げを拙速に織り込み過ぎていた」と付け加えた。

インフレ下での新変異株出現

インフレの一因となっている供給網の目詰まりが新変異株の出現によってさらに深刻化するようなら、中銀の仕事は一段と複雑化するかもしれない。

インフレ率が10年ぶりの高水準を付けた英国では、景気回復が鈍いにもかかわらず、来年半ばまでに70bp程度の利上げが実施されると市場に織り込まれている。

しかし、26日にはポンドがユーロに対して0.6%下落した。MUFGのアナリストチームは、利上げ見通しが後退した際に最も大きく売られるのはニュージーランドドル、豪ドル、カナダドル、ポンドだと予想している。

欧州中央銀行(ECB)では、新型株の出現により理事会でハト派メンバーの力が増すかもしれない。

ECBは1兆8500億ユーロ(2兆0800億ドル)のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を縮小すると予想されている。しかし、みずほのストラテジスト、ピーター・マカラム氏は、3月以降もPEPPが継続される可能性が高まったと言う。

実際、最もPEPPの恩恵を受ける南欧債券市場は、そうした見方に呼応した動きを示している。10年物のイタリア国債利回りは1%を割り込み、1日の動きとして過去3週間で最も大きな低下幅となった。

マカラム氏は「ECBは、欧州の状況によってPEPPの行く末は変わらないとしているが、新たなワクチンが必要な新変異株が出現したのなら、状況は間違いなく変わる」と語った。

(Dhara Ranasinghe記者 Yoruk Bahceli記者)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア西部2州で橋崩落、列車脱線し7人死亡 ウクラ

ビジネス

インフレ鈍化「救い」、先行きリスクも PCE巡りS

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 8
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 9
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中