最新記事

日本企業

アフターコロナを見据えた働き方とオフィス戦略の在り方──短期的なコスト削減のためにオフィスを手放すな、GAFAの大規模な投資はこれからも続く

2021年6月15日(火)16時15分
百嶋 徹(ニッセイ基礎研究所)
活気あるオフィス

テレワークに不可欠な従業員間の信頼は、オフィスで醸成される piranka-iStock

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年6月8日付)からの転載です。

経営者は、ウィズコロナ期にある今、平時を取り戻せるアフターコロナの時代を見据えて、従業員の働き方と働く場の在り方をどう考えるべきだろうか。

筆者は従来から、「メインオフィス(本社など本拠となるオフィス)」と「働く環境の多様な選択の自由」の重要性を主張してきたが、コロナ禍を経てもその重要性は全く変わらない、と考えている。この「2つの重要性」は、コロナ後を見据えた企業経営のニューノーマル(新常態)においても、変えてはいけない「原理原則」であり続ける、と考えたい。

コロナ禍で導入された在宅勤務

コロナ禍の中で多くの企業で導入された在宅勤務でのテレワークは、緊急時のBCP(事業継続計画)対策であって、従業員が時間・場所にとらわれない多様で柔軟な働き方を個々の事情に応じて自らで選択できるようにする「働き方改革」とは全く次元が異なるものである。

在宅勤務の生産性は、自宅の環境要因によって従業員間で大きな格差が生じかねず、企業は在宅勤務を平時に本格導入するなら、生産性格差是正のために従業員に環境整備(例:オフィス家具やIT関連機器の購入、ワークスペース設置のためのリノベーションの実施など)の金銭的サポートを行うべきだ。

テレワークの場の選択肢をホームワーク一辺倒ではなく、従業員の居住地近隣のサテライトオフィスへ拡大することも一法だ。

人間社会の本来の在り方

コロナ後の人間社会の在り方を考える上で、山極壽一京都大学前総長とドイツのアンゲラ・メルケル首相の考え方に学ぶべき点が多い。両者に共通した考え方は、「コロナ後においては、人間同士のつながり・信頼関係を形成するために欠かせない、かけがえのない移動・接触の自由を安易に放棄してはならない」ということだろう。

コロナ禍により、人間は実世界(フィジカル空間)での活動が大きく制限され、テレワークやオンライン会議、遠隔授業、ネットショッピングなど仮想(サイバー)空間に追いやられた。しかし、実世界での人間同士のつながり・信頼感・人的ネットワークの形成は、仮想空間では代替できない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ミネソタ州知事と協議 地裁は移民摘発停

ワールド

イスラエル、ガザ最後の人質の遺体収容 ラファ検問所

ワールド

EU、米メタに有害投稿対策強化促す 「ワッツアップ

ビジネス

USAレアアース株、一時26%上昇 米政府の16億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中