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中国のPEセカンダリー取引、好調続く見通し 上期は過去最高

2025年08月20日(水)17時08分

8月20日、 中国のプライベートエクイティ(PE)資産のセカンダリー取引は、2025年上半期に過去最高を記録した。今後さらに弾みがつく見通しだ。上海で4月撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)

Kane Wu

[香港 20日 ロイター] - 中国のプライベートエクイティ(PE)資産のセカンダリー取引は、2025年上半期に過去最高を記録した。今後さらに弾みがつく見通しだ。

関係筋によると、カナダ第2位の年金運用会社や中国に特化したバイアウトファンドが数十億ドル規模の資産売却を検討している。

PEのセカンダリー取引は、PEファンドのポートフォリオやPEが直接保有する非公開企業の株式を売買する取引。投資家は通常の投資サイクル外で保有する持ち分を売却できるようになる。

業界筋によると、売却側ファンドが提示する大幅な割引が、中国の長期的な経済見通しに自信を持つ買い手を引きつけるとみられる。売却に動く多くのファンドは、投資家への償還を迫られているが、景気低迷や地政学リスクのため、事業会社への売却や株式公開が困難になっている。

例えば、2年前に中国へのPE投資を停止したカナダのケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、約20億ドル相当の資産売却をセカンダリー取引で検討している。その大半は中国資産だという。

中国に特化したバイアウトファンドのCDHインベストメンツも、一部の投資家が既存ファンドのポートフォリオを現金化できるよう、マルチアセット型のコンティニュエーション・ファンドの設立を目指している。

コンティニュエーション・ファンドは、PEファンドが既存投資の一部を移管するために設立する新たな投資ファンド。投資家は出資を維持するか、売却するかを選択できる。

<上半期は過去最高>

中国のデータ提供会社ZERONEによると、25年上半期に完了した人民元建てファンドのセカンダリー取引は731件。前年同期比89%増の773億元(110億ドル)と、過去最高を記録した。

業界筋によると、中国国内の米ドル建て資産のセカンダリー取引に関するデータは公表されていない。

世界的なオルタナティブ投資会社LGTキャピタル・パートナーズは7月、中国に長期的な視点を持つ投資家にとって、優良な資産を安価に購入する良い機会だと指摘。規制リスクも軽減されていると述べた。

LGTのアジア太平洋地域PE部門責任者ダグ・コールター氏はロイターに「当社が中・短期で中国に投じる資金の大半は、セカンダリー取引を通じて行われるだろう」と述べた。

<大幅な値引き>

関係者2人によると、シンガポール政府系ファンドのGICは、中国に特化したベンチャーキャピタルファンド、IDGキャピタルのコンティニュエーション・ファンドに投資し、ソーシャルメディア企業、字節跳動(バイトダンス)などの株式を取得した。

コールター氏によると、中国の優良資産はセカンダリー市場で純資産価値(NAV)から40─50%割引された水準で売却されている。業界筋によると、米国資産のセカンダリー市場での割引率は10─20%前後だ。

業界筋は、中国の市場センチメントの改善がPEのセカンダリー取引に好影響を与えるはずだと指摘。中国の代表的な株価指数であるCSI300指数は年初来7%上昇、香港のハンセン指数は25%値上がりしている。

ロイター
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