最新記事

雇用

ギネスが認めた「世界最高齢の総務部員」 勤続65年、90歳のエクセル達人が語るITの極意とは

2021年4月12日(月)18時00分
山田 清機(ノンフィクションライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

パソコンを操作する玉置泰子さん

エクセルなどのパソコン作業はマルチディスプレイを使いこなす。(写真提供=サンコーインダストリー)

15歳で父を亡くし、高校卒業後ずっと働いてきた

玉置は1930年(昭和5年)に大阪で生まれた、生粋の浪花っ子である。1930年といえば昭和恐慌のまっただ中。翌年に満州事変が勃発して、わが国が戦争への道を歩み始める起点となった年である。

「私、終戦の年に15歳でしたが、父が戦争による過労で戦後すぐに亡くなってしまって、母も病弱だったものですから、高校を卒業してからずっと仕事をしてきました。弟と妹が合わせて3人いましたから、働くことを義務付けられたようなものでした」

高校を卒業して生保に3年勤め、紡績工場を経て、1955年、25歳の時にサンコーで働き始めた。勤続、実に65年である。

「サンコーが一番居心地がよかったので、ここまで継続することができたと思います」

現在も、月曜日から金曜日まで、9時から5時半まで働く。土曜日も「総務に誰かいないといけないから」と、当番の日は午前中だけ出社している。いくら居心地がいいとはいえ、90歳という超高齢者が働き続けるのは並大抵のことではないだろう。サンコーはそんなに働きやすい会社なのだろうか?

社長が癒やしてくれる

「ひとつは、上下の壁がないということですね。部長はもちろんのこと、社長に対しても人を介さずに直接ものが言える会社なんです。会社が終われば社長と一緒にアスレチックに行ったり、おいしいもんを食べに行ったり。一番のねぎらいは、社長が隣にいて癒やしてくれることなんです」

社長が癒やしてくれる......。

にわかには理解し難い言葉である。

「サンコーは課とチームを主体に動いていて、優秀社員の表彰もチームの成績がよかった中での個人の表彰という形なので、ひとりだけがんばっても、チームがよくならなければ評価されないんです。営業も男女のペアでチームを組むようになっていて、必ず2人以上で仕事をしています。常に相棒と一緒に成績評価をされるので、個人が追い込まれることが絶対にない。常に誰かと一緒というところが、とても心強いんです」

玉置の上司に当たる、総務部長の佐藤宏彦が補足してくれた。

「年に2回、賞与の時期に個人評価をしていまして、評価の高い順に、最優秀賞、優秀賞、新人賞を授与しています。個人を評価する軸は、年功序列と成績評価が半々の割合で、年功序列を半分入れることで、成績オンリーになることを防いでいるのです」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

行き過ぎた円安是正し、物価を引き下げる=中道改革連

ビジネス

午後3時のドルは157円後半へ小幅安、リスク回避で

ビジネス

イオン、クスリのアオキ株保有目的から「友好関係維持

ビジネス

再送中国GDP伸び率、第4四半期は3年ぶり低水準 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中