最新記事

ビットコイン

ビットコイン相場を揺るがす米ETFの行方 承認なら「マスク砲」並みのインパクトが

2021年4月27日(火)20時53分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)
米証券取引委員会

米証券取引委員会 ablokhin-iStock

<承認か却下か審査延長か、最短で今月中に結果が出る。なぜこれほど注目されており、承認されれば何が起きるのか>

2021年第2四半期(4-6月期)に突入しました。テスラのイーロン・マスク砲やNFT(ノン・ファンジブル・トークン)のブームが第1四半期の仮想通貨市場を牽引しましたが、第2四半期以降に注目されているのは、米証券取引委員会(SEC)によるビットコインETFの可否判断です。

ETFとは上場投資信託のことで、ビットコインETFが米国で承認されれば、より多くの株式投資家がビットコイン投資に参入することになると考えられます。

実は、SECは過去に何度もビットコインETFの上場申請を拒否してきました。しかし、2月にカナダが北米初、3月にブラジルが南米初のビットコインETFを承認する中、「今度こそはSECの番」と期待する市場関係者は少なくありません。

執筆時点でSECには8つのビットコインETFが申請されています。

SECに申請されているビットコインETF

210427_kraken02.jpg

(出典:SEC、クラーケン・ジャパン集計 ※株式などビットコイン以外の資産を含むビットコインETF は除外)


仮想通貨業界にとって悲願と言っても良い「SECによるビットコインETF承認」ですが、なぜビットコインETFは重要となのでしょうか? ビットコインETFの意義を解説すると共に、SECによるビットコインETF承認の可能性について話したいと思います。

ETFとは何か?

ETFが初めて登場したのは1990年。カナダはトロント証券取引所に上場された、TIPS35という株価指数に連動するETFが最初だと言われています。それ以前から、金融の世界では、投資家が直接投資を行うことなく、プロ(運用会社等)が代わりに株式や債券等に投資を行ったうえで、その投資損益を投資家が得る「投資信託」が一般的に行われていました。

投資信託によって、投資のプロが目利きした銘柄を一般の投資家が間接的に保有することが可能になりました。また、個別株や債券への投資ではある程度まとまった金額が必要になるところ、投資信託は少額でも購入可能な場合が多いため、一般の投資家の投資対象の拡大と利便性の向上に大きく貢献しました。

一方で投資信託は、信託報酬等の手数料が比較的割高であったり、自由に購入・解約ができないこともあったり、市場での流通が限定されているので時価がわかりにくかったりと、いくつかの難点もありました。

こうした難点を解決したのが、投資信託を証券取引所に上場させる「上場投資信託=Exchange Traded Funds」であり、上場商品であるが故の優遇税制の適用、比較的割安な手数料、高い流動性、そして価格の透明性などが確保されました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ第3四半期納車が過去最高、米の税控除終了で先

ビジネス

ホンダ、ブラジルの二輪車工場に440億円投資 需要

ビジネス

マクロスコープ:生活賃金の導入、日本企業に広がる 

ワールド

米政権が「麻薬船」攻撃で議会に正当性主張、専門家は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中