最新記事

AI

大寒波予測で韓国ロッテのホームショッピングが大当たり IBMのAI活用、予算比300%を達成

2021年1月24日(日)12時23分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

1月12日、寒波に襲われた韓国ではホームショッピングでロングダウンコートが飛ぶように売れた。写真は12日、ソウル中心部で撮影。REUTERS/Kim Hong-Ji

<コロナ禍に加えて例年になく寒い日が続き、ステイホームする人に向けたビジネスが熱い>

今年は、大雪により高速道路でのクルマの立ち往生のニュースや、雪による停電など雪災害対策の大切さを改めて考えさせられる冬となった。お隣の国、韓国でも今季は日本と同様に大雪に見舞われた。比較的暖かいはずの済州島でも、今年は1月上旬から大雪・強風注意報が出されるほどだったという。

大雪への対処は、降り出してからももちろんだが、事前の天気予測も重要である。とくに、それが売り上げを大きく左右するビジネスならなおさらだろう。最近韓国では、天気予測を人工知能AIに行わせて豪雪をピタリと当て、売り上げを大きく伸ばすことに成功した企業が注目を浴びている。そのビジネスとは、TVホームショッピングである。

6カ月先まで1日ごとの天気を予測

昨年7月、ロッテ・ホームショッピングは、韓国IBMとAI基盤気象予測システムについて業務協約を結んだことを発表した。AIに天気を予測させることにより、なんと6カ月先までの1日単位の天気はもちろん、最高気温/最低気温/平均気温/降水量など細かな情報までもが割り出せるという。

さらに、ロッテ・ホームショッピングは、商品の売り上げ結果と天気を照らし合わせたデータをAIに学習させることにより、今後は気象状況別の商品需要予測まで展開し提供していく予定だと発表していた。

そして、AI気象予測が導入から約6カ月がたった今冬。ロッテ・ホームショッピングは、この大雪を事前に予測し、売り上げに大きな成果を出している。

放送2週間前に商品決定が必要なホームショッピング

具体的な例でいえば、今月2週目と3週目は大雪と共に、気温がかなり冷え込むことをAIが予想していたため、厚めの暖かい寝具、温水マットなど暖房商品を主力とし、ホームショッピングでは欠かせない衣料品も冬物の肌着、起毛生地商品、暖かいコートなどに緊急商品変更をして販売したという。

さらに、大雪警報の出た12日には、羊毛コートやロングダウンジャケット、起毛パンツをメインに販売し、売り上げを大きく伸ばしたそうだ。

通常のホームショッピングでは、放送日の何日前から販売商品の決定を行わなくてはならないのだろうか? 一般的にホームショッピング業者は、約2週前に商品の決定を終えなくてはならないという。いくら生放送で紹介するとはいえ、商品の仕入業者との商談を済ませ、放送の準備、価格設定などをあらかじめ協議しておく必要があるからだ。

特に、衣料品や冷暖房器具などは、天気に大きく左右される商品であるため、発売のタイミングを間違えるわけにはいかない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中