最新記事

日本経済

トヨタ、5年ぶり世界販売首位 中国で前年比10.9%増などで国内生産「300万台規模の体制堅持」

2021年1月28日(木)18時38分

トヨタ自動車グループ(日野自動車とダイハツ工業を含む)が2020年の世界販売台数で5年ぶりに年間首位へ返り咲いた。写真はトヨタのロゴ。バンコクで2019年7月撮影(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

トヨタ自動車グループ(日野自動車とダイハツ工業を含む)が2020年の世界販売台数で5年ぶりに年間首位へ返り咲いた。4年連続で首位だった独フォルクスワーゲン(VW)グループは2位に転落した。トヨタは新型車の販売が世界的に好調で、VWに比べて新型コロナウイルスの悪影響が軽微にとどまった。

トヨタは28日、20年の世界販売が前年比11.3%減の952万8438台と発表。スポーツ多目的車(SUV)「RAV4」など新型車が寄与したほか、コロナの悪影響からいち早く脱した中国の急回復などが奏功した。トヨタが年間世界販売でトップとなるのは15年以来で、16年からはVWが首位を維持していた。

VWは同15.2%減の930万5400台だった。地盤の欧州で感染防止のための都市封鎖が実施され、外出自粛や一時休業が響いたほか、同社最大の販売台数を誇る中国でも不振だった。

中国で明暗

トヨタは、中国を除く主要市場で前年を割り込んだが、北米が5月以降、徐々に回復してきたほか、中国販売は10.9%増の179万7487台と大きく伸びた。

一方、VWの販売は主要市場すべてで前年を下回り、中国での販売も384万9000台と9.1%減少した。中国に続く同社2番目の販売規模の西欧でも2割以上の落ち込みとなった。

19年に3位だった日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社連合の20年の世界販売台数は23.2%減の779万8919台だった。

国内生産「300万台規模の体制堅持」

トヨタの豊田章男社長は、かつての大量リコールなどへの反省から、台数規模拡大を追わず、車の品質や魅力の向上を最優先している。ただ、雇用や技術力、仕入れ先などを守り続けるために必要な規模として国内生産は300万台の維持を掲げている。

コロナ禍で、トヨタ単体の20年の国内生産は14.4%減の292万2605台と300万台を下回ったが、同社は「300万台規模の人員・体制を堅持できている。数字よりその体制を築いていることに意味がある」(広報担当者)との認識を示した。

(山光瑛美、白木真紀 編集:青山敦子)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】


ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノルウェーSWF、ガザ関連でさらに6社投資除外

ワールド

ゼレンスキー氏、ロシアの「冷酷な」攻撃非難 「訪米

ワールド

イラン、協力停止後もIAEAと協議継続 「数日中に

ワールド

米特使、イスラエルはレバノン和平計画に従うべき
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中