「選挙戦での蜜月は終わった」 環境団体、バイデンに早くも圧力
ニューヨークではサンライズの活動家が先週、資産運用大手・ブラックロックの本社周辺に集まり、オバマ前政権で環境問題などの大統領上級顧問を務めたブライアン・ディース氏を国家経済会議(NEC)委員長に充てるとしたバイデン氏の人事に抗議した。
ディース氏が過去数年間、ブラックロックで持続可能社会問題の責任者だったためだ。ブラックロックは一部の石炭産業向け投資を引き揚げているものの、なお化石燃料産業全体への投資規模は大きい。
サンライズ共同創設者の1人であるバルシニ・プラカシュ氏は「われわれの役目は、バイデン陣営の公約は素晴らしいと言うことだけでなく、政権発足初日からそれに基づいて行動しなければならないと訴えることにある」と主張。バイデン氏が若い世代の支持者への責任を全うしてくれるように、ロビー活動から抗議行動、ネット経由の運動まであらゆる手段を行使していくと語り、手始めに閣僚人事、次に政策行動の監視に力を入れると説明した。
グリーンピースも選挙戦の公約実行などで圧力
より「老舗」のグリーンピースは先週、EPA本庁舎の壁にプロジェクションマッピングで「バイデンさん、化石燃料ゼロの未来をつくってね」とのメッセージを投影するとともに、オバマ前政権のエネルギー長官だったアーニー・モニズ氏を新長官にしないでと呼び掛けた。モニズ氏が天然ガスや原子力の利用を支持していることや、公益企業、サザン・カンパニーの役員に名を連ねた経歴のためだ。
グリーンピースで気候変動問題を担当するチャーリー・ジャン氏は、バイデン氏が就任初日に気候変動の緊急事態を宣言するよう働き掛けるほか、1)連邦所有地の化石燃料産業向けリース中止、2)キーストーンXLなど大規模石油パイプラインの稼働阻止、3)環境関連投資の4割を、環境問題で不利益を被る地域の格差解消に振り向けること――といった公約の実行を強く求める考えを示した。
シエラクラブも、バイデン氏に特に環境破壊で直接影響を被る地域の支援を最優先するという約束を果たしてもらうとしている。
一方で過去4年間、トランプ政権による環境規制後退に異議を唱える法廷闘争を展開してきたアースジャスティスは、バイデン氏に圧力をかけるのではなく、これまでの経験を踏まえ、今後導入される環境規制に対して石油・ガス産業が訴訟を起こした場合に次期政権を援護していく構えだと述べた。
幹部のサム・サンカー氏は「われわれは公共メディアを通じた挑発的な運動はしない」と断りつつも、規制面でバイデン氏が持つことになる大統領権限を積極的に活用してもらいたいと強く要請していくと付け加えた。
(Valerie Volcovici記者)
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