新型コロナウイルスで「二重苦」の中国製造業 日韓からの供給停止が追い打ち
従業員戻らず
中国では一部の企業が操業を再開しているが、中小企業の多くは今も十分な数の作業員の確保が難航し、製造業は北東アジア全体で事態が悪化している。
ガベカル・ドラゴノミクスのワン氏は「中国は製造業で大きな比率を占めており、国内の状況は引き続き深刻だ」と述べた。
韓国の食品包装機械メーカー、ウルスン・オート・パックのOh Pil-jae最高経営責任者(CEO)によると、同社は春節(旧正月)の休暇を2月半ばまで延長したが、休暇が終わっても中国東部の蘇州にある工場が再開できないでいる。ウルスンは蘇州工場から部品を輸入し、韓国で組み立てて、完成品を10カ国程度に輸出している。
蘇州工場で職場に復帰した作業員は50人のうち3分の1ほど。CEOによると、医薬関連製品が病院に供給されているためマスクが手に入らず、従業員1人に対して毎日2枚を提供するという当局から課せられた条件を守ることができない。
CEOによると「工場に韓国人がいるから復帰しない作業員もいる」。同社は蘇州の工場を韓国に移すことを検討しているが、移転はコストがかかり、作業を終えるには8カ月以上を要するという。
(Gabriel Crossley、Stella Qiu記者)
【関連記事】
・ここにも... クルーズ船下船後も消えぬ新型コロナウイルスの影
・新型コロナウイルスの流行で中国は野生動物を食べなくなるか
・新型コロナウイルス「春になれば感染拡大は収まる」は本当か
2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。