最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスで部品枯渇 自動車業界にサプライチェーン危機

2020年2月9日(日)12時08分

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、いよいよ世界の自動車産業に波及し始めてきた。中国の部品工場が操業再開できないと、部品在庫が底をつく可能性がある。写真は広西チワン族自治区柳州市にある米ゼネラル・モーターズの合弁工場。2019年2月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、いよいよ世界の自動車産業に波及し始めてきた。6日にはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、中国の部品供給業者が操業を再開できなければ、2─4週間で欧州の工場1カ所の生産を止める可能性があると警告を発したのだ。

自動車メーカーにとっては、今後数週間が重要な時期になる。中国で製造される部品は、他の場所で組み立てられる数百万台の自動車に使われており、新型コロナウイルスが最初に発生した湖北省は、自動車部品生産・出荷の主要拠点でもある。

業界専門家の話では、サプライヤーは1月末からの春節(旧正月)を前に、部品の在庫や一時保管の量を増やしてきた。ただ来週、中国の部品工場が再び操業できないか、中国発着の航空便の制限が続くなら、そうした取り置き分は底を突いてしまう。

中国の自動車部品・組立工場は当初、春節の休みを9日までの予定としていたものの、一部はさらに休業期間を延ばしている。

コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車・工業慣行担当マネジングディレクター、ダン・ハーシュ氏は「業界のほとんど全ての企業が製品生産で何らかのトラブルに見舞われている」と述べた。

影響「読めない」

FCAのマンリー最高経営責任者(CEO)は6日、あと2-4週間で部品が入ってこないようなら欧州の組立工場の生産停止を迫られる恐れがあると語った。対象となる具体的な車種や工場は明らかにしていない。

トヨタ自動車<7203.T>は6日、2020年3月期連結利益予想を上方修正したが、白柳正義執行役員は、中国国外の「部品在庫(の動き)を丹念に見守っている」と強調。ディディエ・ルロワ副社長は、今年の中国市場は昨年からさらに縮小するとみていたと説明した上で「(新型コロナウイルスによる)不確実性は高まっている。影響は今、本当に読めない。今後、数日で急激に状況が変わるかもしれない」と、警戒感を示している。

韓国の現代自動車も、中国からの部品不足によって国内の複数の工場が生産停止を余儀なくされるだろうとの見方を示した。

ゼネラル・モーターズ(GM)は、24時間態勢で対応する専門チームを立ち上げた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏が第3政党計画にブレーキと報道、当人は否定

ワールド

訪日外国人、4.4%増の340万人 7月として過去

ワールド

中国の7月原油輸入、ロシア産が増加 米国産は2カ月

ビジネス

日経平均は続落、4万3000円割れ 利益確定売り優
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 6
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中