最新記事

日本企業

韓国不買・香港デモが直撃 ユニクロのファーストリテイリング、4期ぶり減益へ

2020年1月9日(木)18時00分

ファーストリテイリングは、2020年8月期(国際会計基準、IFRS)の連結営業利益予想を300億円減額し、前年比4.9%減の2450億円にすると発表した。写真は都内のユニクロ店舗。2017年1月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

ファーストリテイリングは9日、2020年8月期(国際会計基準、IFRS)の連結営業利益予想を300億円減額し、前年比4.9%減の2450億円にすると発表した。最高益予想から一転し、4期ぶりの営業減益予想となる。日本との関係が悪化している韓国や、デモが続いている香港の下振れが影響している。

リフィニティブがまとめたアナリスト14名の通期営業利益予想の平均2856億円を大きく下回った。

連結売上収益は600億円下方修正し、同2.2%増の2兆3400億円を計画。

海外ユニクロ事業は上期が増収・大幅減益、下期は増収減益になる見通し。中国本土や香港、台湾で構成する「グレーターチャイナ」は、警察と抗議デモ参加者との激しい衝突が続く香港が大幅減益となるほか、元安による押し下げもあり減益を見込む。

韓国事業は赤字となる見込み。岡崎健・財務最高責任者(CFO)は会見で「(韓国は)非常に厳しい事業環境と認識している」と述べた。政治的な問題で解決の見通しが立たないものの「韓国は非常に重要な市場。韓国の消費者に誠実に真摯に提供していく。粛々ととやるべきことをやっていくことに尽きる」と語った。昨年11月末時点で韓国では186店舗を展開している。

中東情勢の緊迫化の直接的な影響はないものの、グローバルに展開を進める同社にとっては「平和で安定していることが一番重要」(CFO)との認識を示した。

その他のアジア・オセアニア事業は好調で、欧州も通期で増収増益と予想。北米は通期での黒字化を見込んでいる。

気候変動への対応も課題

国内ユニクロ事業は、通期で増収増益を予想している。10月の消費増税については、駆け込みも反動減も含めほとんど影響はなかったという。

12月までは、気温が高かったことで秋冬物の立ち上がりが鈍く、防寒衣料の販売にも影響した。9―12月期の既存店売上高(EC売上高を含む)は前年同期比4.5%減。客数は0.5%減にとどまったものの、客単価が4.1%減少した。

岡崎CFOは「暖冬へ対応する商品構成ができていなかった」とし、在庫コントロールに加え、下期には商品構成を刷新することで挽回するとした。ただ、昨年も暖冬で冬物が不振だったことを踏まえ「暖冬と呼ぶべきか、気候が大きく変わってきていることを念頭に置きながらどういう商品構成が良いか見直している」と述べた。

2019年9―11月期の連結売上収益は前年比3.3%減の6234億円、営業利益は同12.4%減の916億円で減収減益となった。*内容を追加しました。

(清水律子 グラフ作成・編集:田中志保)

[東京 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中