最新記事
ヘルス

日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪んだ認知

2025年6月4日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
ダイエット中の女性

過剰なダイエットは自身の健康だけでなく生まれてくる子どもへの影響も懸念される photoAC

<フランスでは過剰なダイエット等を煽る情報の発信が禁止されている>

人間の体格を測る指標として、BMI(Body Mass Index)がある。体重を身長の二乗で割った値で、18.5未満だと「痩せすぎ」、25.0以上だと「肥満」と判定される。他国と比較した日本人の特徴は、痩せすぎの割合が高いことだ。

2023年の『国民健康・栄養調査』によると、15歳以上の8.8%が痩せすぎで、男性だと5.5%、女性だと12.2%。男性より女性で高い。さらに年齢層別に見ると、10代後半女性では18.3%、20代女性では24.4%にもなる。20代女性の4人に1人が痩せすぎだ。何とか痩せようと、無理なダイエットをする人が多いためだろう。


肥満気味というなら、食生活を見直すのもいい。しかし若い女性の場合、普通の体格であっても「自分は太っている、もっと痩せなければ」と思い込み、過剰な食事制限をしてしまう人もいる。

やや古いが、2017年に国立青少年教育振興機構が実施した調査によると、「自分は太っている」と思っている高校生の割合は、男子では23.4%、女子では52.0%にもなる。普通の体格の生徒に限った場合、結果はどうなるか。体格のグループ別の数値を棒グラフにすると、<図1>のようになる。

newsweekjp20250604011754.png

「自分は太っている」と思っている生徒の割合は、肥満のグループほど高い。これは当然だが、女子の場合、普通の体格のグループでも6割が肥満意識を持っている。BMIが18.5~25.0の正常値であっても、自分は太り過ぎと思い込んでいるということだ。

右側は自分の体格に満足している生徒の割合だが、男子ではグループ間の差が小さいのに対し、女子では普通のグループになるとガクンと下がる。男子と同程度に満足しているのは、痩せすぎのグループだけだ。

普通の体格であるにもかかわらず、無理なダイエットに走ってしまう女子は少なくないだろう。今ではSNSに自撮りの画像(動画)をアップすることが多く、かつ痩せを煽る情報もよく目にする。若い女性の認知の歪みが起きやすくなっていると言える。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

逮捕475人で大半が韓国籍、米で建設中の現代自工場

ワールド

FRB議長候補、ハセット・ウォーシュ・ウォーラーの

ワールド

アングル:雇用激減するメキシコ国境の町、トランプ関

ビジネス

米国株式市場=小幅安、景気先行き懸念が重し 利下げ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 5
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 6
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    ハイカーグループに向かってクマ猛ダッシュ、砂塵舞…
  • 9
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 10
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨッ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にす…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中