日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪んだ認知

過剰なダイエットは自身の健康だけでなく生まれてくる子どもへの影響も懸念される photoAC
<フランスでは過剰なダイエット等を煽る情報の発信が禁止されている>
人間の体格を測る指標として、BMI(Body Mass Index)がある。体重を身長の二乗で割った値で、18.5未満だと「痩せすぎ」、25.0以上だと「肥満」と判定される。他国と比較した日本人の特徴は、痩せすぎの割合が高いことだ。
2023年の『国民健康・栄養調査』によると、15歳以上の8.8%が痩せすぎで、男性だと5.5%、女性だと12.2%。男性より女性で高い。さらに年齢層別に見ると、10代後半女性では18.3%、20代女性では24.4%にもなる。20代女性の4人に1人が痩せすぎだ。何とか痩せようと、無理なダイエットをする人が多いためだろう。
肥満気味というなら、食生活を見直すのもいい。しかし若い女性の場合、普通の体格であっても「自分は太っている、もっと痩せなければ」と思い込み、過剰な食事制限をしてしまう人もいる。
やや古いが、2017年に国立青少年教育振興機構が実施した調査によると、「自分は太っている」と思っている高校生の割合は、男子では23.4%、女子では52.0%にもなる。普通の体格の生徒に限った場合、結果はどうなるか。体格のグループ別の数値を棒グラフにすると、<図1>のようになる。
「自分は太っている」と思っている生徒の割合は、肥満のグループほど高い。これは当然だが、女子の場合、普通の体格のグループでも6割が肥満意識を持っている。BMIが18.5~25.0の正常値であっても、自分は太り過ぎと思い込んでいるということだ。
右側は自分の体格に満足している生徒の割合だが、男子ではグループ間の差が小さいのに対し、女子では普通のグループになるとガクンと下がる。男子と同程度に満足しているのは、痩せすぎのグループだけだ。
普通の体格であるにもかかわらず、無理なダイエットに走ってしまう女子は少なくないだろう。今ではSNSに自撮りの画像(動画)をアップすることが多く、かつ痩せを煽る情報もよく目にする。若い女性の認知の歪みが起きやすくなっていると言える。