最新記事

朝鮮半島

北朝鮮で横行する墓荒らしビジネス

貧しさから盗掘に走る北朝鮮の人々と、それを買い叩く中国人

2014年9月19日(金)12時20分
カン・テジュン

高麗の品も 泥棒のなかには政府高官に雇われた者もいる Damir Sagolj-Reuters

 北朝鮮で近年、大盛況のビジネスがある。墓荒らしだ。

 自らも墓の盗掘を生業にしていたという脱北者が4月に発表した著書で明かしたところによると、北朝鮮の墓から大量の遺品や古美術品が盗まれ、中国に売られているという。今でも北朝鮮には高麗・朝鮮王朝時代の陶磁器や白磁器が多数埋まっており、南西部の黄海北道や東北部の咸鏡南道などで墓荒らしが横行しているらしい。

 こうした古美術品の最大の市場は、中国と国境を接する最西北端の新義州にある。北朝鮮各地から古美術品が集められ、月に2〜3回中国に密輸される。中国人業者が支払うのは、1商品当たり1000ドル以下。古美術品の価値はそれをはるかに上回るが、北朝鮮の人々はすぐにでもカネが必要な上、ほかに取引相手もいないため、不当な安値で手放すしかない。

 平壌の東90キロの平安南道陽徳郡には100人ほどの墓荒らしがおり、政府高官まで手を染めているという(彼らは自ら手を下さず、人を雇って盗掘させる場合が多い)。

 墓に眠る先祖にとっては、盗掘行為も困窮する北朝鮮の現状も、嘆かわしいものだろう。

From thediplomat.com

[2014年9月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン、米国との交渉を否定 国連大使「唯一の言語は

ワールド

トランプ氏、米軍は「永遠に」戦争可能 大勝利に万全

ワールド

トランプ氏、イランは協議望むも「すでに手遅れ」 指

ワールド

中東紛争4日目、攻撃広がり犠牲増加 想定以上に作戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び率を記録した「勝因」と「今後の課題」
  • 4
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 5
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 6
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中