最新記事

スマートフォン

サムスン新スマホ「ウザすぎる」新機能

ギャラクシーS4の売りである自動機能はユーザーを戸惑わせる過剰サービス

2013年4月1日(月)15時24分
ウィル・オリマス

目新しさ 「ギャラクシーS4」の紹介映像を見ると、スマートフォンの新時代を予感させるが YouTube

 サムスン電子は先ごろ、アンドロイドOS搭載の新型スマートフォン「ギャラクシーS4」を発表した。鳴り物入りで披露しただけあって、ハードウエアはかなりのものだ。5型の画面にはフルHD有機ELディスプレイを採用。1300万画素のカメラと大容量バッテリーを搭載する。

 だが、サムスンが提案するこの高性能端末の目新しい使い方はというと──ひいき目に見ても過剰サービス。厳しい言い方をすれば「うんざり」だ。

 ソフトウエアの目玉は、ユーザーを常に監視する印象的な(だが少々イラつく)機能だ。まず「Sヘルス」は、ユーザーの一挙手一投足をモニターして、心拍数や血糖値を計測する。

 サムスンの言うもう1つの「イノベーション(革新)」は、眼球の動きに合わせて動作するメカニズム。「スマート・ポーズ」は、ユーザーが画面から目を離すと自動的に動画の再生を一時停止する。

 一見スグレモノだが、実際はくだらない上に相当煩わしい。ちょっとでも目をそらすと、動画は自動的にストップ。必死で画面をにらまないと、動画は再び動きださない。

 一方、「スマート・スクロール」はユーザーが画面を見る角度を記憶して、端末を傾けると文字情報の画面が自動的にスクロールする機能。これも煩わしいが、まだ我慢はできる。

 3番目の売りものは「エア・ビュー」と「エア・ジェスチャー」。要するに画面にタッチしなくても、指をかざすだけで一部の操作ができる機能だが、具体的にどんなメリットがあるのかよく分からない。

 結局、この手の「スマート」や「エア」を組み合わせて何がしたかったのか。ギャラクシーS4は、ユーザーのやりたいことを本人以上によく分かっていると主張する携帯電話だ。時にはユーザーにその気がなくても、勝手に動作する。設定ボタンで自動機能を「オフ」にできるのが、せめてもの救いだ。

 サムスンは昨年、久々に現れたアップルの有力な対抗馬として浮上した。その原動力は、優れた製品と巧みな宣伝、そしてアップルとの特許訴訟合戦だ。一連の訴訟は、値段を除くと両社の製品にほとんど差がないことを浮き彫りにした。しかし今回のギャラクシーS4は、ギミックと真のイノベーションを混同したらどうなるかのいい見本だ。

© 2012, Slate

[2013年3月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、6月の英販売台数は前年比12%増=調査

ワールド

豪家計支出、5月は前月比+0.9% 消費回復

ワールド

常に必要な連絡体制を保持し協議進める=参院選中の日

ワールド

中国、太平洋島しょ地域で基地建設望まず 在フィジー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中