最新記事

アドバイス

ネット個人情報を守る10カ条

情報悪用の手口は進化する一方だがリスクを減らすためにやれることはある

2011年2月24日(木)12時33分
マイケル・ファーティク(レピュテーションディフェンダー社CEO)

 2〜3年前なら、まだ事情は違った。私自身、一般の人でもインターネット上で個人情報を守ることはできると言っていた。ネットにおける個人や企業の評判を管理する企業の経営者である私でも、それなりの努力をすれば普通の人々が独力で、情報を守ることは可能と考えていた。

 だが、もうそんな時代ではない。個人情報の検索と利用の方法は進化し、そのスピードはどんどん速くなっている。ネット上で自分のプライバシーを守ることは、独力でウイルス防止ソフトを開発するのと同じくらい難しくなった。

 それでも、個人情報が盗まれるリスクを減らすために個々のユーザーがやれることはいくつもある。代表的な10カ条を紹介したい。

1)ブラウザのクッキーをブロックする あなたがネットサーフィンをしているときは、閲覧中のサイトが多くのデータを収集している。このデータを組み合わせると、あなたの「デジタルプロフィール」の主要部分が出来上がり、世界中の企業に売られていく。もちろん、あなたの同意なしにだ。

「クッキー」と呼ばれる追跡用ファイルをブロックしておけば、個人情報の収集を部分的に防ぐことができる。そうするとサイトにアクセスしたときにパスワードの入力が必要になることが増えるが、そのくらいの手間は我慢しよう。

2)ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に生年月日を公表しない 個人情報を盗もうとする連中にとっては、あなたの生年月日が何より大切。友人に誕生日を教えたいなら、月日までにして年は公表しないでおこう。

3)フェースブックのアプリケーションを国外からダウンロードしない SNS上のアプリからは、大量の個人情報にアクセスできる。誰かがそれらのデータを集めては、紛失したり悪用したり、あるいは販売したりする。アプリが作られたのが国内であれば、いくらかは安全だ。少なくとも何かが起きたときに対処しやすい。

4)複数のユーザー名とパスワードを使う ユーザー名とパスワードは、SNS、オンラインバンキング、電子メール、ショッピング......とそれぞれ別のものを設定しておこう。パスワードだけを変えても、最近は安心できない。同じユーザー名を多くのサイトで使っていると、ごくシンプルなアルゴリズムを使うだけで、あなたの生活のさまざまな情報が立ちどころに分かってしまう。実際に被害は起きている。

5)自分の個人情報がどれだけ公開されているか知っておく ほんの数回のクリックで多くの個人情報を得られることを、知らない人が結構いる。アメリカには個人情報を無料検索できるサイトがたくさんあるから、自分や家族の情報が引っ掛かるかどうかを試してみるといい。

6)位置情報通知機能に注意 スマートフォンや各種アプリ、ウェブサービスがあなたの居場所を追い掛けている。このサービスがどれだけプライバシーに配慮しているかは分からない。取りあえず「○○レストラン着」と通知するような機能は使わないように。「位置情報って何?」という人は、スマートフォンのこの機能をオフにしよう。情報の収集方法も利用目的も知らされずに、個人情報を安易に渡すなんて言語道断だ。

7)シュレッダーを使う クレジットカード関係の書類や銀行の残高報告書などと同じく、自宅に届いたネットショッピングの明細書などの印刷物を捨てるときは必ずシュレッダーを使おう。

8)自分の個人情報を減らす ネット上には、個人情報を保管したり販売したりしているサイトがたくさんある。もし可能なら、そのサイトから自分のデータを削除するよう働き掛けよう。

9)SNSのプライバシー設定を最大にする プライバシー設定の変更方法はかなり面倒なもの。初めから最も厳しい設定にしておこう。

10)古いアカウントは閉じる 使わなくなったSNSのアカウントは閉鎖しよう。時々データを消すようにすれば、古いデータがネットにばらまかれることも減る。自分のデジタルフットプリント(ネット上の足跡)を減らしておけばその分、「デジタルプロフィール」が作られ、悪用されるリスクも小さくなる。

[2010年11月24日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ウォルマート、8―10月期は予想上回る 通期見通

ビジネス

米9月雇用11.9万人増で底堅さ示唆、失業率4年ぶ

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中