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米金融ゴールドマンを信じなかったウォール街
大幅増益でも投資家の関心は決算より証券詐欺疑惑に集中。ゴールドマンの釈明の中身は
激震 ゴールドマンの提訴を受けて4月16日のニューヨーク市場では株価が急落した Brendan McDermid-Reuters
証券詐欺疑惑の渦中にある米金融大手ゴールドマン・サックスが4月20日、2010年1〜3月期の決算を発表した。純利益が前年同期比の約91%増という予想以上の増益だったが、米証券取引委員会(SEC)が同社を訴追した16日の衝撃を忘れさせてくれるほどのインパクトはない。
ゴールドマンにかけられた疑惑は、サブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅ローン)関連の資産を裏付けとした債務担保証券(CDO)の組成と販売に絡んで、投資家に重要な情報を伝えなかったというもの。20日の決算発表当日に行われた電話会見では、身内のはずのドイツ銀行やクレディ・スイスのアナリストたちまでが、訴追問題でゴールドマンを質問攻めにした(ちなみにゴールドマンは、この電話会見を一般の人々にも公開するという異例の行動に出た)。
ゴールドマンの法務顧問グレッグ・パームは電話会見の前半を、自社の潔白を説明することに費やさなければならなかった。パームは、下落すると知りながら問題のCDOを組成する行為は同社にとって何のメリットもないと訴え、逆にこの取引で1億ドル以上の損失を被ったと主張した。
投資家も下落リスクは承知だったはず
もっともパームが何より強調したかったのは、問題のアバカスという名のファンドに投資したのは証券業界の仕組みを熟知した機関投資家だという点だった。ウォール街の常識を知り尽くしている彼らは、住宅市場の下落に賭けている投資家や投資機関があることくらい承知していたはずだ、というのが彼の言い分。投資の世界では、相場の上昇に賭ける人がいれば必ず下落に賭ける人もいるのだから──。
SECの訴追に関しては、実際に裁判で審理されるのか、和解に至るのか現時点ではわからない。パームは、提訴の知らせに非常に驚いたと何度も繰り返した。刑事罰に問われる心当たりがあるかという質問と、事前に司法省と協議したかという問いについては否定。他の容疑でも調査を受けているかという質問には回答しなかった。
パームが明言したのは、「投資家にとって重要と思われる情報は開示する」ということだけ。逃げ道を確保した絶妙な表現だ。