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インド中流層はパワー全開

2009年10月2日(金)15時46分
ルチル・シャルマ

企業は経営戦略の転換を

 かねてからインドの政治家たちは、もっと多くの国民が成長の恩恵に浴せるようにしたいと考えてきた。だから高度成長期に増えた税収の多くを福祉につぎ込み、国民の生活レベルを引き上げてきた。

 しかも庶民は、富裕層と違って世界的な金融危機の影響をさほど受けていない。こうして、今までは「潜在的」な市場でしかなかった中産階級が、一気に消費の主役に躍り出たのである。

 とはいえ、その購買力はまだ中国の中産階級に及ばない。インドの1人当たり年間所得は1000ドルで、中国の3分の1にも満たない。消費者は今も価格に敏感で、利幅の大きい高額商品への需要は限られている。

 だが昨年来の経済混乱のおかげで、今後のインド経済の成長を支えるのが誰かは明確になった。もはや少数の富裕層を相手に甘い汁を吸える時代ではない。元気な中産階級の消費意欲をくすぐる商品やサービスを提供すること。これがインドで成功するカギだ。

(筆者はモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの新興市場部門責任者)

[2009年9月 2日号掲載]

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