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地球温暖化

エコ経済の「うま過ぎる話」

2009年8月11日(火)15時00分
ロバート・サミュエルソン(本誌コラムニスト)

好都合過ぎる前提条件

 経済予測モデルで大きな経済変動やその影響を読み切れたためしはない。今の経済危機はまったくの想定外だったし、08年に原油価格が1バレル=150ドル近くまで上がることも予測できなかった。70年代の高インフレも同様だ。

「一般均衡モデル」は共通の基礎条件下で複数の政策を比較検討するには役立つが、10年単位の経済動向を見通すには不確定要素や切り捨てる条件が多過ぎる。成長率や金融危機、地政学的危機、インフレ、失業など、挙げだせば切りがない。

「環境に優しい経済」の宣伝文句には多くの幻想が紛れ込んでいる。環境保護派は海面の上昇から熱帯病の拡大まで、温暖化のリスクを最大限に膨らませ、対策のコストは最小限に抑える。実際に何がどうなるのか、いくらかかるのか。関係者もよく分かっていない。

 不確実な予測モデルに基づいた推論がちまたにあふれ、あやふやな知識を根拠に壮大な経済の枠組みや社会計画が提案されている。最も不足しているのは、率直さと常識だ。

[2009年7月15日号掲載]

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