コラム

トランプ流「取引外交」が加速させる中東の軍拡競争...貢がれる「中東マネー」と「面白くない」イスラエル

2025年05月27日(火)16時55分

イスラエル国内では現在、トランプの核合意離脱によってイランがウラン濃縮を進めたことを警戒し、核施設への予防的攻撃をめぐる議論が活発化している。

仮に攻撃が実行されれば、イランによる報復は、米軍基地が置かれるサウジアラビアやカタールに及ぶ可能性がある。また、サウジアラビアが核関連技術を取得すれば、他国がそれに追随する可能性も否定できない。両国の軍備の強化で地域全体の軍事力は一層高まり、紛争が起きれば戦火は拡大する。

トランプが中東政策において明確な戦略を持っているのかは依然として不透明だ。しかし、中東諸国がトランプ政権の関心を引くために投じるアメリカへの巨額の資金は、結果として地域の軍拡を加速させ、将来的な武力衝突の引き金になる可能性をはらんでいる。


プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

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