コラム

「日中友好」パンダ外交と囲碁外交の本当の狙い

2026年02月14日(土)19時24分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

日本囲碁界に勝利した「民族英雄」

晩年の聶は、「囲碁の強い人は政治もうまい。友人の習近平の囲碁の腕前は分からないが、政治はうまくやっている」と語っている。国家は母よりも尊い存在だとする彼の国家観は、中国の教育を受けて育った多くの人々が共有してきた。日本囲碁界に勝利した彼は「民族英雄」と称され、中国人が日本に対して自信を取り戻す原動力となった。

パンダ外交と同様、囲碁外交も「日中友好」を掲げつつ、民族的自尊心を高める装置として機能してきた。しかし2026年に入って棋聖は世を去り、パンダは姿を消し、日中航空路線の運航停止も続く。GDPで日本を大きく上回る中国は、もはや友好をあえて演出する必要がない。政府だけでなく民間でも緊張は可視化されつつある。日中関係は、既に歴史的な氷河期に足を踏み入れつつあるのかもしれない。


ポイント

聶衛平
1952年生まれ。父は革命第一世代の情報管理専門家。80年代の日中スーパー囲碁で中国を3連覇に導き、囲碁ブームを起こす。日本で活躍する孔令文(こう れいぶん)七段は実子。風刺画で聶が持つ扇子の「烂(爛)柯」は囲碁の別称。

陳毅
1923年に中国共産党入党。抗日戦争と国共内戦で活躍。中華人民共和国成立後は上海市長、副首相、外務大臣などを歴任した。72年死去。

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プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

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