毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き進む習近平氏が恐れる「ソ連崩壊の悪夢」
China’s “Smart Authoritarianism”
第20回中国共産党大会の開会式で演説する習近平(22年10月) KEVIN FRAYER/GETTY IMAGES
<習近平は毛沢東以来の個人支配でイノベーション大国、経済大国を目指している>
ダークスーツに赤いネクタイを締めた男性が演壇に立っている。後ろには、整然と並んで座る要人たち。その背後、巨大な壁の中央に金色の鎌と槌(つち)が浮き上がり、高さ30メートルの真紅の旗が左右に広がっていた。
【動画】習近平の権威主義的な姿勢は、どのようにして中国経済を殺すのか
彼らの前の広大なホールには赤いじゅうたんが敷かれ、2000人以上の代議員が座っていた。男性の言葉を熱心に聞いてメモを取る姿は、命懸けのような真剣さだった。
2022年10月の第20回中国共産党大会で習近平(シー・チンピン)国家主席の演説は2時間近くに及び、時々割れんばかりの拍手が湧き起こった。権威主義体制を象徴する光景であり、同時に中国政治の大きな転換点でもあった。
習は2期目の18年に憲法を改正して国家主席の任期制限を撤廃し、この党大会と23年3月の全国人民代表大会(全人代)を経て3期目に入った。毛沢東の個人崇拝的な支配から国を守るために設計された党の規範が、明確に否定された。
毛沢東後の政治および経済改革は、中国を貧困から世界第2位の経済大国へと押し上げた。独裁体制は持続的成長に不可欠なイノベーションを育てることはできないと、多くの専門家は言う。しかし、シンガポールの経験に影響を受けた中国の指導者たちは、筆者が「賢明な権威主義」と呼ぶものを追求し、権威主義的な統制の手段をグローバルな情報化時代に適応させた。政治的統制とイノベーションの促進との緊張関係を踏まえ、包括的な経済政策と緩い抑圧により統治してきたのだ。





