コラム

グーグル流・失敗に重きを置く企業文化の作り方/inherently(必然的に)

2017年10月26日(木)17時15分

www.ted.comより

【今週のTED Talk動画】
The Unexpected Benefit of Celebrating Failure
https://www.ted.com/talks/astro_teller_the_unexpected_benefit_of_celebrating_failure

登壇者:アストロ・テラー

グーグルの関連会社である「X(エックス、旧グーグルX)」は現在、ムーンショット・プロジェクト(月旅行のような遠大かつ難しい計画)を進めている。このTEDトークでは、Xの責任者であるアストロ・テラー氏が、同社でどのようにイノベーションを追求しているかについて説明している。

このような講演では通常、自社の成功体験について語ることが期待されるものだが、テラー氏は逆に、自社で失敗したプロジェクトをいくつか紹介している。なぜテラー氏は失敗に重きを置くのか。彼の説明によると、挑戦的なプロジェクトの遂行に失敗は付きもの。だがその挑戦を奨励するために、Xでは逆に失敗してもいい環境をつくっているという。

あるアイデアがうまくいかないと分かったらすぐにそれを止めて撤退するチームは、ここでは感謝され、また昇格やボーナスを与えられる。そして、その失敗から早く立ち直り、それを基に学習するようにしているそうだ。そうすることによって、「限りない楽観性」と「熱心な懐疑性」の2つを両立しているという。イノベーションを起こしたいと思っている人には、このトークはきっと参考になるに違いない。

キーフレーズ解説

inherently
必然的に
(動画13:45より)

Inherentlyは「必然的に」や「本質的に」を表す言葉。Inherentという形容詞の副詞形です。その対象である言葉が、中心的なもので、取り除くことが不可能だということを示します。

テラー氏はこの言葉を用いて、トークで以下のように説明しています。Being audacious and working on big, risky things makes people inherently uncomfortable.(大胆なことをして、大規模かつリスクの高い仕事をすることは、必然的に人々を不快にさせる)。

ここでいくつかこの表現を用いた例を紹介します:

●Being a policeman is an inherently dangerous job.
(警察官というのは、本質的に危険な職務です)

●The philosopher Hobbes believed that people are inherently selfish.
(ホッブズという哲学者は、人間は必然的に利己的だと信じていた)

●The future is inherently unknowable.
(将来は必然的に知ることができない)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story