コラム

スキャンダル続きのクオモNY州知事、政治的サバイバルはできるのか?

2021年03月30日(火)15時30分

ここまで見てくると、クオモ知事という人は多くの疑惑を抱えながら「しぶとく」辞任を拒否しているように見えます。それも事実の一つの面であると思います。ですが、もう少し引いた観点から見てみると、一連のスキャンダルにおける攻撃は、実は知事の反対党である共和党が仕掛けているというよりも、民主党内中道派の知事に対して党内左派が仕掛けているという構図が見えてきます。

党内の対立がどうして、こんな泥仕合的な形で出てくるのかというと、要因は3つあります。

1つは、ニューヨーク州における党内両派の対決は、この8年にわたってクオモ知事(中道)とデブラシオ市長(左派)が対立し、そして2016年の予備選におけるヒラリー対サンダースの対決でもニューヨークが「戦場」となるなど、根の深い問題があるという点です。

2つ目は、とりあえず国政レベルではバイデン大統領(中道)が左派の主張を相当程度まで「丸のみ」しており、当面は党内の融和ができているという点です。つまり全国レベルのワシントンの政局では「両派の対立」は回避されており、その分だけ対立エネルギーがニューヨークに来ているという見方が可能です。

3つ目としては、そのニューヨークでは2021年に市長選、2022年には知事選と上院議員選のダブル選挙があります。市長選は現時点では左右両派のガチンコ対決とはなっていませんが、2022年の知事選と上院選は、それぞれクオモとシューマーという中道の大物が、予備選で左派候補の挑戦を受ける可能性が指摘されています。

この中で、特にクオモ続投の可否を問う民主党の知事予備選が当面の党内の左右対立のエネルギーを吸収している感じがあります。その前哨戦として、具体的な候補が出てくる前に、左派としてはクオモ知事を政治的に葬りたいという強い動機があると考えられます。反対に、だからこそクオモ知事としては引くに引けないという姿勢とも見えるのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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