コラム

米大統領選の行く末を左右するコロナ危機

2020年04月09日(木)16時40分

仮に、トランプ大統領が言うように早期に全米の感染が収束の気配を見せ、経済も回復の基調がハッキリした場合には、現職有利となる可能性があります。大統領は、緊急経済対策の第2弾を示唆していますし、ビジネスを「再オープン」する際には、全米で記念式典をやる(ちょっと信じがたい発想ですが)などとブチ上げていますが、それもこれも選挙を意識した言動だと思われます。

ですが、反対に感染拡大が長期化して、経済の落ち込みも更に大きくなっていくようですと、2008年11月のリーマン・ショック後の選挙と同様に、野党・民主党が有利になります。バイデンとしては、感染拡大が続く場合に当選の可能性が高まると考えられます。

ところが、バイデンは高齢です。1942年11月20日生まれの同候補は、仮に当選した場合に2週間後には満78歳になります。そうなると、感染拡大が収束しないとか、第2波に備えなくてはならないといった状況で、国のリーダーが、「感染リスクの高い、脆弱な(vulnerable)グループ」に入ってしまうことになります。

これは非常に厳しい事態です。そうなると否が応でも注目されるのが、バイデンがランニングメイト(共に選挙戦を戦う副大統領候補)に誰を指名するかです。バイデンは、テレビ討論の誘導尋問で「自分は女性を指名する」という言質を取られています。

これがまだ有効だとすると、例えば、左派のエリザベス・ウォーレン氏への期待論もありますが、年齢が70歳というのは少し高すぎます。一方で、ジャマイカ&インド系のカマラ・ハリス氏などは若さということでは申し分ないのですが、過去にバイデンと確執がありますし、危機管理の手腕は未知数です。

そうなると、同じ中道派のエイミ・クロブチャー候補などは相当に有力になってくるでしょう。クロブチャーの場合は、夫君が新型コロナに罹患して治癒したこともあり、あらためて注目を浴びています。仮に「女性にする」という口約束は無効ということになると、ニューヨーク州のクオモ知事などには待望論がありますが、本人は「自分はそういう政治には向かない。今はニューヨークの危機に集中するだけ」と全否定の構えです。

いずれにしても、今後のアメリカ大統領選の行方は感染拡大をどう抑え込むか、その一点にかかっていると思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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