コラム

銃乱射事件を政治問題化するトランプの苦境

2016年06月14日(火)15時00分

 また、今回の予備選に関して言えば、バーニー・サンダース候補は左派の理想主義者というイメージが強いですが、バーモント州という山間部を地盤とするサンダースは、実は「NRAの穏健な支持者」でもあります。とにかく一筋縄では行かない問題なのです。

 例えば今回の事件を契機として、「アサルトライフルと多弾装マガジンの規制」という一点に絞ってでも、民主党サイドとしての「意見統一」ができるかどうかが一つのポイントになると思います。

 一方でトランプ陣営は、当面は共和党内の批判を「かわした」格好になる可能性が出てきました。というのは、「移民排斥」はともかく「銃規制反対」というのは、共和党保守派の共感を得やすいテーマだからです。実はここ数週間、共和党の主流派には、あらためて「トランプ外し」の可能性が模索されていたのですが、それは難しくなったと見るべきでしょう。

 今回の事件は、犠牲者を悼んで喪に服すどころか、即座に政治問題化されてしまいました。そのこと自体に強い違和感を覚えざるを得ません。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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