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【写真特集】欧州最貧国アルバニアの油田が住民の健康と環境を蝕む
BLACK GOLD
Photographs by JONAS KAKÓ

パトス・マリンザ地域のジャレス村にある使われなくなった油井の近くでは、少女がさびた油貯蔵タンクに登っていた
<油田採掘は、環境破壊や農作物・家畜の汚染など、社会と環境に重大な問題を引き起こした>
バルカン半島に位置するアルバニアは、第2次大戦後の共産主義独裁政権時代はソ連、中国とだけ関わりを持ち、1970~90年代は「鎖国」状態という特異な歴史をたどった。そのため経済は停滞し、現在の1人当たり所得は約5260ドルで欧州最貧国の1つ。一方で、推定53億バレル以上の豊富な原油埋蔵量を有する。
最も有名な油田は、欧州最大規模のパトス・マリンザ油田。だが92年の資本主義経済の導入以降、その原油採掘の95%をカナダのバンカーズ・ペトロリアム(最近、中国企業が買収)などさまざまな企業が支配するようになった。
市場の激変は、湖の汚染や油漏れ、地下水の被毒、農作物や家畜の汚染など、社会と環境に重大な問題を引き起こし、パトス・マリンザ地域を不毛の地にしてしまった。
このフォトドキュメンタリーの焦点は、政府から開発権を得てパトス・マリンザで長年操業するバンカーズ・ペトロリアムの石油生産。日常の光景を通し、陸上油田が環境や住民の健康に与える影響が浮き彫りになる。
――ヨナス・カコ(写真家)