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【写真特集】コロナと黒人女性と不屈の精神
COVID, BLM AND RESILIENCY
Photographs by SARAH BLESENER

ローミからブレセナーへの手紙。この1カ月の変化について書かれている。「コロナでこんなにひどいことになるなんて、当初は考えもしなかった。パンと牛乳を買いに行っても売り切れで......でもこのコミュニティーはできるだけのことはしている。互いに声を掛け、何が必要か聞いている。追伸:これはブッシュウィックのこと」(4月10日)

イースターを前に、全身を真っ白に着飾ったローミ。地元の教会が閉まっている間も、できるだけ足を運ぶようにしている。「信仰がなければ、私は朝起きることさえできない。目覚めたら一番に神に感謝する」とローミ。「愛とは家族を大切にすること。楽あれば苦あり。信仰のおかげで、私はそういう姿勢でいられる」(4月7日)

地元の高齢者センターではパンデミックの間、年配の住民に無料で食料が配布された。「パンデミックが起きたとき、みんなとても怖がった。つらい目に遭っている人もたくさんいる。だからここで食料配布を始めた。必要としている人に届くよう、私も車に乗って配布を手伝っている。食料が必要な人は、本当にたくさんいる」(5月29日)

感染予防のため抗議行動に参加できなかったローミだが、アーティストに依頼してフロイドとBLM運動のための壁画を裏庭に描いてもらった。「ある晩目が覚めて、ジョージ・フロイドを追悼しなくては、BLM運動のために何かしたいと思った。そこで世界に見てもらえるよう、裏庭に絵を描いてもらった。この人種的憎悪をもう隠すことはできない」(6月24日)
Photographs by Sarah Blesener for the International Center of Photography
撮影:セイラ・ブレセナー
米ミネソタ州ミネアポリス生まれ。大学で言語学と青少年育成を学ぶ。在学中に、地震で被災したハイチを援助する団体の活動を写真で記録した。ロシア語やビジュアル・ジャーナリズムも学び、東欧、ロシア、アメリカの若者たちのイデオロギーをテーマにした作品で知られる
<本誌2020年10月6日号掲載>
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