コラム

トランプを再び米大統領にするのは選挙戦を撤退したはずのケネディ?

2024年09月19日(木)19時47分
ロバート・ケネディJr., ドナルド・トランプ, 米大統領選

ケネディ(左)を選挙戦の集会で紹介するトランプ(8月23日、アリゾナ州)USA TODAY NETWORK via Reuters Connect

<ロバート・ケネディJr.の大統領選撤退は、トランプ当選を後押しする可能性がある。そしてトランプは見返りとして陰謀論者ケネディにアメリカの公衆衛生をゆだねるかも...とパックンは解説します>

ロバート・ケネディJr.が心配だ。大統領選の無所属候補として昨年名乗りを上げ、一時20%近くの支持率を誇った。これは心配ではない。ほとんどのアメリカ人は彼のことをよく知らず、名家出身の彼の名字に惹かれていただけだと思う。

それから彼が長年ワクチン関連の陰謀論者である過去、そして「新型コロナウィルスはヨーロッパ系のユダヤ人と中国人が感染しないように作られている」などと話す陰謀論者としての「現在」が知られるとともにどんどん支持率は低下。先月の世論調査では約5%まで落ち込んだ。


彼の素顔を知ってもなお、5%の人がついていく?! という驚きはあっても、本来そこまで心配することではないはず。

だが先月、ケネディは選挙活動を停止するとともにトランプ前大統領への支持を表明した。さらに、激戦州の投票用紙に残ったままの自身の名前を削除するよう、裁判所に請求した。つまり選挙結果に大きく影響する激戦州の自分への支持票がトランプに入るよう、動いているのだ。やばい!

「本気のケネディ支持者」が大統領を決める

6月までケネディはバイデンとトランプの両方から票を奪っているとみられていたが、バイデンが選挙戦から撤退し、カマラ・ハリス副大統領が立候補した直後、10%近くあったケネディの支持率は急に4%も減った。

ここで離れたのは「トランプとバイデン以外なら誰でもいい」と思う、いわゆる「ダブル・ヘイター」の人たちだろう。彼らはハリスでも我慢できるようだ。

しかし、そうすると残っている5%は「ケネディでいい」のではなく「ケネディがいい」という本気の支持者だ。彼らはケネディが演説で呼び掛けたとおり、トランプに票を投じる可能性が大。接戦のなか、陰謀論者の票が陰謀王者の当選につながり得るのだ!

そもそも、過去に民主党の大黒柱だった伝説の家族に生まれ育ったケネディはなぜ共和党のトランプ派に回ったのか? 演説ではその説明として、立候補した背景に3つの「大義」があるとケネディは話す。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、マスク氏との電話会談「興味なし」 6日

ビジネス

米関税がユーロ圏にデフレ圧力、物価1%に接近も=ポ

ビジネス

中加首相会談、李氏は関係強化呼びかけ 「利害対立な

ビジネス

テスラ株空売り筋、マスク氏とトランプ氏の決裂で40
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 7
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 8
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 9
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 10
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story