コラム

【パックン予測】カマラ・ハリスは2024年のアメリカ大統領になる!

2020年08月13日(木)17時45分

ハリスはバイデンが必要としているものを備えている。それは…… Carlos Barria-REUTERS

<バイデンが民主党の副大統領候補に指名したカマラ・ハリスは、たとえ今年トランプが再選しても2024年には大統領になる>

史上初! 黒人女性が米大統領に!

そんな見出しが4年と3カ月後に、世界中の新聞一面を飾るだろう。と、世界一速い2024年大統領選挙の結果予測をしよう。つまり、今年ではなく、次期大統領選挙でのカマラ・ハリスの当選に賭けよう!

もちろん、お金は賭けられないから、万が一予測が外れてしまった場合、罰としてこのコラムを、結果を反映するように書き直すことにする!

民主党の大統領候補に内定しているジョー・バイデン前副大統領が副大統領候補に大抜擢したのがハリス上院議員。この人選自体には全く驚かない。多くの解説者もそうだが、僕は前から複数のメディアを通してそれを予測してきた。バイデンは副大統領候補を女性にすると公言していたし、BLM(=Black Lives Matter 黒人の命も大事)運動が広まる中、黒人を選ぶ圧力も高まっていた。スーザン・ライス元国連大使など優秀な人材は他にもいたが、一般的な読みとしてはハリスが最有力候補だった。バイデンが必要としているものを備えているから。

バイデンは何を必要としているだろう?

史上初の黒人女性大統領?

まず、バイデンは77歳。(犬に換算すると11歳かな?)。当選したら史上最年長の大統領になるので、まず間違いなく必要なのは......いや、介護ではない。アメリカのコメディアンはそう落としそうだが。必要なのは主に3つ:活発に選挙運動ができ、勝利に貢献できること。当選後、万が一のことがあった時にすぐ大統領に就任できること。そして4年後、バイデンが引退するとしても、民主党の大統領として後継ぎができること。

1つ目は間違いない。なんといっても、言い間違いや失言が目立つバイデンと違って、元検察官のハリスは話が上手。選挙運動中はこのコミュニケーション力が大きな武器になる。去年の民主党大統領候補の討論会で、まだ対立していたバイデンを舌鋒鋭く攻撃したのが記憶に新しいが、現政権への批判にもその話術を有効に発揮できるはず。特に、トランプ大統領の、女性を蔑視する人種差別的な考え方を明白にするためには、黒人女性であるハリスは世界で2番目に適した人かもしれない。ちなみに気になる、トランプの醜い思想を世界で一番うまく露呈できる人はというと......トランプ本人だ。

2つ目の、すぐ大統領になれるという点も問題ないでしょう。検事の後にカリフォルニア州の司法長官を6年、連邦上院議員を4年近く務めてはいるけど、少し経験が浅いという人もいるだろう。特に、大統領になるには「プロレスのプロデュース」や「テレビのリアリティー番組への出演」、裁判所から賠償金の支払い命令や解散の指導を食らうような「『詐欺大学』や『詐欺慈善団体』の経営」などの経歴を求める人は納得しないでしょう。そんな厳しい条件を求める彼らは満点のトランプに投票するしかない。

そして3つ目は、4年後に大統領になれること。これはもちろん、現時点ではなんとも言えない。今見えているものも、見えていないものも含めてアメリカが直面する課題にバイデン政権はどう対応するのかがわからない。そんななか、ハリス副大統領の働きがどう評価されるかも。さらに、史上初の黒人大統領(オバマ)と同じように史上初の黒人女性の副大統領にも大きな反発が起きるのかも。不確定要素が多すぎて、予測できない。

<関連記事:バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候補ハリス指名の意味

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

金現物、4500ドル初めて突破 銀・プラチナも最高

ワールド

イスラエル、軍ラジオを来年閉鎖 言論の自由脅かすと

ワールド

再送-ベネズエラが原油を洋上保管、米圧力で輸出支障

ワールド

豪NSW州で銃規制・ 反テロ法強化、乱射事件受け
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story