コラム

サイコロを振って北朝鮮問題を考える(後編)

2017年04月28日(金)17時40分

しかも、その時点で北朝鮮の反社会的行為を正す手段はほとんどない。核ミサイルを持つ相手に、軍事行動だけではなく、強硬な制裁もなかなか実施できない。第二次大戦前にアメリカが日本への石油供給を止めた歴史をみてもわかるように、経済制裁も戦争のもとになりうるからだ。

そうしたら、北朝鮮の暴走を止めるため、またアメリカが単独で武力行使を考えないといけない日がくるかもしれない。しかし、北朝鮮の核武装が完成した後に攻撃をした場合、いま先制攻撃するよりも成果を得る確率が低くなり、失敗したときの被害は想像を絶するほど恐ろしいものになる。報復攻撃から始まるのは戦争ではなく、核戦争になるからだ。

現段階での先制攻撃は数百万人もの命をかけるギャンブルになるが、後で同様の攻撃を行うと何千万人もの命をかけることになる。しかも今なら北朝鮮だけだが、先送りにした後は同じ賭けをシリアでもイランでも繰り返さないといけない可能性もある。どの段階でも「リスク対リターン」の計算になるが、「朝鮮半島の安定と非核化」というリターンは変わらず、先送りすればするほどリスクが高まるのだ。先送りすることも大きなギャンブルだろう。

これがタカ派の主張だ。

【参考記事】北朝鮮危機のさなか、米空軍がICBM発射実験

ハト派は(僕自身もその1人だが)この見方を理解しておかないと、議論が罵り合いで終わってしまう。トランプは非常識人ではあるが、常識人であったとしても早い段階の先制攻撃を進める可能性がある。

あなただったら、どのタイミングでどのサイコロを投げますか?

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プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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