コラム

菅首相は安倍首相に続き自滅か

2020年10月29日(木)11時09分
菅首相は安倍首相に続き自滅か

所信表明演説をする菅義偉首相(10月26日) Kim Kyung-Hoon-REUTERS

<テレビ生出演で、日本学術会議の任命拒否問題について三度「説明拒否」の姿勢を繰り返した菅首相。やはり首相向きではない?>

安倍首相については、私は、アベノミクス猛反対、ただし、そのほかは、普通という評価をしてきた。しいて言えば、相対的にはまともな首相候補が少ない中で、ましな方だ、という意味でプラスの評価をしてきた。

世間は、アベノミクスに対する評価がプラスだったから、トータルでは安倍政権は強い支持を受けたが、躓いたのは、森友事件だった。

しかも、それが傷になったのは、安倍氏が、私の妻が関係したら総理を辞める、と野党の煽りに乗ってしまい、やってしまった失言がすべてであった。

あの失言さえなければ、野党もあそこまでしつこく攻めなかっただろうし、財務局の書き換えも起きなかっただろうし、自殺者も出なかっただろう。

安倍政権側に立てば、非常にもったいない、ささいなミス、しかも、子供じみた野党のけんかに、さらに子供じみた安倍氏の向きになった反論いや口ごたえが、致命傷になったしまった、という痛恨のミスだった。

そこは安倍氏らしい子供っぽさだった。

菅総理は、それだけはない。

はずだった。

しかし、私も記事で指摘したとおり、日本学術会議の任命というどうでもいい組織のどうでもいい事柄で、余計な権力行使をしたために、躓いた。

なんともったいない。

余計なことをしないと思われた菅首相が、こんな余計なことをしたのが、私にはサプライズだったし、彼の首相としての意外な弱点をさらけ出してしまった。

そして、これは尾を引いている。

テレビで怒りをあらわに

月曜日のNHKニュースウォッチ9の首相生出演。

キャスターの有馬氏の、学術会議について、国民に説明が必要ではないか、という質問に対し、一切答えず、従来の説明を3度繰り返し、絶対に説明しない、という姿勢を強烈に示した。

有馬氏も、もう少し、うまくいなしてくると予想していたのであろうが、そこまで固執する気もなかったのに、あまりに、真正面から答えることを拒否するので、やっぱり説明したほうがいいのではないですか、と質問を三回繰り返し、繰り返すたびに、菅首相は怒りをあらわにし、答えがますます頑なになり、有馬氏が4回目に、やぱり国民が求めているのだから何らかの説明をしたほうが、といったところで、時間切れになり、生インタビューは終わった。

菅総理にとっては、最悪の終わり方で、もしテレビを見ていれば、どんなに菅氏のファンだったとしても、疑問を抱き始めることになるインタビューとなってしまった。

もったいない。

あそこで、たかだかメディアのインタビューで怒りを顕にしてしまっては、器が小さいと思われてしまう。菅氏は、世間も私も器の大きな人間だと思い、期待していただけに、これは菅首相にとっては、痛すぎるテレビ出演だった。

やはり首相向きではないのか。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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